新たまねぎ

2014.04.09
【第2話】

収穫まで

手間ひまかけた栽培が生む、甘さとみずみずしさ。

遠州地域の南西部、篠原地区は新たまねぎの一大産地です。国道脇の平らな砂地には一面にたまねぎ畑が広がります。新たまねぎは、年明けから4月頃まで収穫されます。畑を訪れた2月はまさに収穫の最盛期。ほとんど収穫が終わった畑もあれば、まだ青々とした葉が茂る畑もあります。

その甘さと柔らかさが最大の特徴の新たまねぎ。栽培は、想像以上に技術がいるそうです。それぞれの農家や産地で、長年の経験からその土地に合った栽培方法が確立されています。新たまねぎの栽培を始めて6年ほど経つ農家の山崎さんは、その難しさを実感しています。

「たまねぎがこんなに難しいとは、始める前は思っていなかった。水やりや肥料の置き方ひとつをちょっと間違えただけで、きちんと大きな実にならないんです。」

そう言いながらも、山崎さんの畑には大玉でつやつやの新たまねぎがひしめいています。最近は、栽培のコツを少しずつ掴んできたそうです。

乾いた砂をやさしく拭う。

冬のよく晴れた日は収穫日和。抜き取ったたまねぎは、数時間、天日にあてて表面についた砂を乾かします。その後は葉と根を切りそろえる作業に。コンテナの上に鎌(かま)の刃を上向きにして、その上から鎌をまたぐようにして腰掛けます。

たまねぎを鎌の刃にあてて、余分な根と葉を切っていきます。最後に、表面についた砂を軍手をはめた手で拭います。このとき、薄皮がとれてしまわないよう、優しく拭うのがコツ。まるで子供の頭をなでるような手つきです。

季節の移り変わりを最大限に利用して。

篠原のたまねぎは、どれも同じように見えて、出荷時期により微妙に品種を変えています。1月のはじめに出荷するものは9月下旬に植え付けたもの。それから少しずつ時期をずらして、収穫の時期により合った品種を植えていきます。皮まで真っ白な白たまねぎは、2月下旬までにおおよそ出荷を終え、その後は黄たまねぎや赤たまねぎを出荷していきます。なるべく長い期間、美味しいたまねぎを出荷できるように調整をしているのです。

篠原地区では、たまねぎが終わった後の畑は、さつまいも栽培を行うのが最も一般的です。これも、次のたまねぎの季節までの限られた時間を最大限に有効活用するため。この期間に、植え付けから収穫までできる作物はあまりないそうです。

こうして、このあたりの畑では一年を通じて露地で作物を栽培しています。まさに、遠州の自然の恵みを存分に生かした農業が行われています。



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