さつまいも

2014.09.10
【第2話】

収穫まで

残暑の中、ひと足早く秋の空気をはこぶ

8月下旬、さつまいもの収穫が始まった、遠州灘にほど近い、浜松市南区にある畑を訪ねました。この畑では、芋掘り機による収穫が行われていました。

芋掘り機を使った収穫では、土ごとかき出された芋が、機械中央のベルトの上を流れて、機械に載せられたコンテナにつぎつぎと収められていきます。機械が畑の端から端まで一往復すると、空のコンテナを再び載せ、次の畝(うね)へと進んでいきます。

のどかな風景の中、想像以上のスピードで、あっという間に収穫されていく芋たち。畑脇の道ばたに積まれた紅色のさつまいもが、ひと足早く秋の気配を漂わせています。

遠州の新名物「うなぎいも」の誕生ストーリー

一見普通のさつまいもに見えますが、この畑で栽培されているのは、実は「うなぎいも」と呼ばれるもの。

「うなぎいも」とは、遠州・浜名湖名物である「うなぎ」の頭や骨など廃棄処分される部分を使った肥料を、畑の土に混ぜて栽培した地域限定ブランドのさつまいも。元々は、地元の造園会社が副業としてさつまいも栽培を始め、「うなぎ」とのコラボを思いついたそうです。2011年に、さまざまな業種の約50社が集まって発足した「うなぎいも」プロジェクトは、その後独自の組合を設立。現在では「うなぎいも」を使った加工品が次々と発売されています。

通常であれば捨てられてしまう、うなぎの「残渣(ざんさ)」を有効利用し、新たな浜松ブランドを作ってしまおうという、斬新な発想からスタートしたこのプロジェクト。今では「うなぎいもコロッケ」が給食で出るほど、遠州地域の新しい顔として定着しています。

熟成を経て、出荷の時を待つ

この「うなぎいも」、もちろん、うなぎの味がするわけではなく、見た目も至って普通ですが、通常のさつまいもより甘味が強く、食物繊維も豊富。うなぎの滋養をたっぷり吸収して育ったおかげでしょうか。

収穫後の「うなぎいも」は、すぐに出荷をするわけではなく、「キュアリング」という熟成処理を行います。33度ほどの室温で、48時間、芋をキュアリング専用の倉庫に入れておくと、芋の皮に「コルク層」ができ、表面が固くなります。収穫時の傷も癒え、保存性がぐんと高まるそう。こうした処理も遠州地域では「うなぎいも」独自のものだそうです。
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