原木しいたけ

2014.12.17
【第2話】

収穫まで

春野の木でつくる、原木しいたけ。

11月下旬、春野町で原木しいたけの栽培を行う増田行雄さんを訪ねると、「まずはお茶でも」とご自宅に招いてくださいました。増田さんは家業の林業を継ぎ、副業であった、しいたけとお茶の栽培も同時に始めました。生しいたけと干しいたけの両方を手がける、しいたけ作りのベテランです。

ご自宅から、原木が寝かせてある林の脇を通り過ぎ、坂道を降りると、しいたけ栽培のハウスに着きます。ハウスの中では、コナラの原木から、肉厚のしいたけが顔を出しています。「ハウスの一番奥のほうを見てごらん。少しぼんやりとしているでしょう?」と増田さん。確かに、奥のほうはわずかにモヤのようなものがかかっています。これは、しいたけの胞子が空中に浮遊しているからだそう。夜にライトで照らすと、より一層はっきりと見えるのだそうです。

自然のリズムが生み出す、山の幸。

原木しいたけ作りは、原木となる木を伐採するところから始まります。秋、紅葉のはじめの頃に、近くの山でコナラの木を伐採し、葉がついたまま置いておくと、葉から木の水分が抜け、原木に適した状態になります。木をひと冬寝かせ、春になると原木に菌を打つ「植菌(しょっきん)」を行います。

「植菌は、毎年梅の咲く頃からソメイヨシノの満開の時期まで。その時期なら雑菌が少なく、しいたけの菌がうまく付くんだよ。」と、増田さんが説明してくれました。しいたけ栽培は、温度計や天気予報に頼るのではなく、花や木、虫など、自然の生き物たちから、その時々で必要なことを教わるのです。例えば、梅が上向きに咲く年は「から梅雨」、逆に下向きに咲く年は雨が多い、という具合です。

自然のリズムにしっかりと寄り添うことが、しいたけ作りの基本なのです。

手間ひまを惜しまない、昔ながらの「薪仕上げ」。

旬の時期の生しいたけも、申し分ないおいしさですが、原木しいたけを干して乾燥させた「干ししいたけ」も、忘れてはなりません。増田さんのところでは、生しいたけを乾燥機で乾かしたあと、薪をたいたムロでさらにじっくりと燻します。この「薪仕上げ」は昔ながらの方法ですが、しいたけをしっかりと乾燥させる大切なプロセスなのだとか。

時間と労力はかかりますが、十分乾燥させることで、しいたけの「うまみ」がさらに引き出され、いいお出汁が出るそうです。

go to pagetop