ピオーネ

2014.08.20
【第2話】

収穫まで

ピオーネづくり四十年の名人をたずねる。

7月半ばから8月のお盆過ぎまで、遠州地域のピオーネが収穫の時期を迎えます。訪ねたのは、浜松市北区都田町のピオーネ農家・波多野善弘さんのハウス。都田町は遠州のピオーネ農家が集まる町です。波多野さんはここで、ピオーネを40年もの間作り続けています。

傾斜地に建てられたハウスに入り、一番下の段に立つと、はるか最上段までぶどう棚を見渡すことができます。この大きなハウスも、波多野さん自らの手で作ったというのだから、驚きです。ピオーネづくりへの並々ならぬ想いが感じられます。

数あるぶどう品種の中でも受粉が難しく、病気や雨にも弱いというピオーネ。商品として売れるぶどうを作るためには、日々の細やかな管理が欠かせません。それでも、波多野さん曰く、やるべきことをやるべき時期にやっていれば、木はそれに応えてくれるのだそう。

ぶどうの木は、毎年が新しい経験。

「ひとつの木に何房くらいなるのですか?」という問いに、「ピオーネは、葉一枚に対して実ひと粒が目安と言われていてね。」と波多野さん。葉の枚数と実の数だけでなく、実の大きさや葉の面積などによっても、適した収穫量は変化します。想像以上に緻密な計算のうえで、色や大きさも良く、おいしいピオーネができるのです。

さらに、毎年植え替える野菜とちがって、果樹は樹齢によっても木の体力が変化します。野菜なら20年続ければベテランですが、ぶどうの場合は、たとえ20年目の農家でも樹齢20年の木と向き合うのは初めて。農家にとって、毎年が新しい経験というわけです。

よりピオーネらしい、遠州のピオーネ。

ピオーネ種の祖先であるマスカット種はもともとヨーロッパの地中海地域が原産。遠州地域は雨が多く、湿度も高い気候ですが、日照時間が長い点では地中海地域と共通しています。ハウスをかけて雨や湿気をよけることで、より原産地に似た気候になります。その結果、マスカット種の特徴が強いピオーネができるそうです。

花のような甘い香りは、その特徴のひとつ。生産量では、岡山県や山梨県にはかないませんが、遠州産のピオーネは、他では味わえない、ここだけのピオーネなのです。




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