遠州ブランドスピリッツ

STORY

快適でうつくしい建具と暮らす

2017.09.07
■レポート/大野建具有限会社 
【第2話】

障子の貼替え・建具の出張修理【後編】

貼替えたカラー障子を入れる

 

 

前編にひきつづき、大野建具さんの障子の貼替え・建具の出張修理レポートです。

 

これまでの工程、障子の貼替え・建具の出張修理【前編】はこちら。

 

翌日、貼替えた障子を持って、大野さんがふたたび依頼主のお宅をおとずれました。毛布をそっと広げて、障子を取り出します。

 

色和紙が貼られた障子は、見違えるほど鮮やか。窓にはめる前から、気持ちが高まります。

 

 

和室に入ると、まずは敷居の補修から。古い敷居滑りのテープを剥がし、新しいテープに貼替えます。

 

 

敷居がととのったら、障子の下部、敷居と接する面を、ノコギリやカンナでけずって調整していきます。

 

 

最後に、ロウでできた「コマスベリ」を取り付けます。敷居滑りテープとコマスベリは、どちらも消耗品だそうで、数年に1度、取り替えが必要です。

 

 

4本の障子を次々に仕上げると、窓にはめていきます。あっという間にできあがる手際の良さは、経験を積んだ職人だからこそですね。

 

 

カラー障子がはまると、一気に部屋の雰囲気が明るくなり、華やぎます。今回は下半分にだけ色和紙を使い、上半分は白一色で統一。ほどよい落ち着きのある仕上がりになりました。

 

 

 

動かなかったふすまを、元どおりに

 

 

つづいては、動きの悪くなったふすまの調整です。

 

 

ここで登場したのが、昔の車用ジャッキ。大野さんのおじいさんの代から使っている道具だそうで、年季の入った風貌には、なんともいえない味わいがあります。

 

 

使い方はとてもシンプルで、敷居と鴨居の間にジャッキと木のつっかえ棒を入れ、ジャッキを少しずつ回すだけ。下がっていた鴨居がもちあがり、ふすまがスルリと外れました。

 

外したふすまを、障子同様にけずって調整していきます。

 

 

カンナを持つ手を、さきほどより少し大胆に動かす大野さん。

 

大野さんいわく、けずる量の目安は、鴨居と戸のずれ具合を見ただけでわかるそうですが、素人目にはまったく見当がつきません。

 

見る見るうちに、けずり屑が大野さんの足元にたまっていきます。

 

 

最後は、障子とおなじく、コマスベリを付けて完成です。ジャッキを外した状態でも、すんなりと戸がはまり、左右の動きもスムーズに。

 

 

ふすまを全て閉じてみると、調整前にはかなり隙間があいていたところも、ぴったりと閉じる状態になりました。(修理前の状態はこちら)気持ちよく合わさった建具は、年月をかさねた空間に、凛とした緊張感をあたえてくれます。

 

 

 

 

職人の「手しごと」で、よみがえる建具

 

 

こうして約1時間で、貼替えた障子の取り付けと敷居の補修、ふすまの調整が終わりました。大野建具さんでは、貼替えでお客さまの家をたずねた際には、できるかぎり、ほかの建具も一緒に調整をしているのだそうです。

 

「やはり建具屋なので、動きの悪い建具を見ると、そのままにして帰れないのです。」と大野さん。

 

住まいや生活習慣が洋風になったとはいえ、伝統的な木の建具は、まだまだ私たちの暮らしの中で身近な存在。やぶれたり、動きが悪くなったりしても、大野建具さんのようなプロの「手しごと」で、何度でもよみがえらせることができます。

 

快適でうつくしい建具とともに、日々の暮らしをより豊かなものにしたいですね。

 

 

2017年6月

■PROFILE

大野建具有限会社

2代目の父と3代目の息子の二人三脚で営む建具店。【グッドデザインしずおか2014 文化賞】を受賞した「夏戸」は、風通しの良さはもちろん、繊細なデザインが見た目にも涼しげです。遠州地域とその近隣地域で、障子やふすまの修理・貼替えを出張サービスで行っています。

■ホームページ:http://oonotategu.hp.gogo.jp/

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