遠州ブランドスピリッツ

STORY

暮らしをいろどる、日本の建具

2016.04.07
■レポート/大野建具有限会社 
【第2話】

季節にあわせた、建具で暮らす

ご近所との、ほどよい距離感

建具を楽しむ暮らし方、大野建具さんの取材レポート。次に訪ねたのは、大野さんの祖父の代からのお付き合いというお宅。新築の際にも、すべてお任せで建具をオーダーしたそうです。現在は、80代と70代のご姉妹の、二人暮らし。最近、リビングに、大野建具オリジナルの「夏戸」をあつらえたとのことで、お邪魔してみました。
取材時は、まだ3月なので、建具も冬仕様。北側のダイニングとの間にはガラス戸が、西側の床の間との間には木製の引き戸、そして、南の掃き出し窓には障子戸が、それぞれはめられていました。大野さんにお願いして、北側と南側に夏戸をはめていただきました。
夏戸に替えられた理由を伺ってみると、最初は敷地のすぐ南側に家が建ったことが、きっかけだったそうです。もともと居間の南側にはカーテンがついていましたが、おとなりに家が建って以来、カーテンを開けてしまうと家の中が丸見えで、落ち着かなかったため、目隠しを兼ねて、戸の上下を部分的に開け閉めできる障子戸に替えたそうです。

その後、湿気の多い夏場の風通しをより良くするために、夏戸をあつらえることにされたそうです。

暑く湿った夏を、快適にすごす

細い木がいくつも組み合わされた夏戸は、見た目の美しさはもちろん、快適に暮らすための機能もしっかりと備えています。

正面からだと木の間から反対側が透けて見えますが、少し角度がつくと見えなくなり、目隠しになります。また、こちらのお宅では、ダイニングの北側にも大きな窓があるので、開け放しておけば、北から南へと自然に空気が流れる間取りになっています。夏戸を使いはじめて以来、さらに風通しが良くなり、真夏でも扇風機やエアコンはほとんど使わなくなったのだとか。
「お盆のときに、ナスでお供えものを作るのですが、以前は、かならずカビてしまっていたのが、夏戸に変えてからというもの、カビなくなったのです。それだけ、湿気がこもっていないということなのですね。」とのこと。

繊細な美しさがあり、環境にもやさしい夏戸は、現代の暮らしにぴったりな建具といえそうです。

お客さまの信頼に、職人の仕事でこたえる

大野建具さんでは、新規に建具を作るときだけでなく、貼り替えや修理の際にも、かならず建具の調整をするそうです。

「やはり建具屋なので、動きの悪いまま、貼り替えだけしておしまい、ということはできません。どんな家でも、建ててから何年かすると、少しずつ傾いたり、歪んだりするもの。そんな時に、少しずつ削って調節できるのが、木でできている建具の良さです。」
さらに、季節によっても、建具の動きは変化するそう。

「木は、湿度に合わせて、吸水したり、乾いたりして、お部屋の調湿機能も兼ね備えています。その分、夏と冬では、建具の引きやすさも変わります。冬に合わせて調整すると、夏場は戸が動かないほどパンパンになることもあるので、1年の気候の変化を考えて調整することが大切です。」と大野さん。
こちらのお宅では、日頃のメンテナンスから新しい建具のデザインまで、すべて大野建具さんにお任せなのだそうです。それでも、出来栄えはいつも期待以上。「昔からのご縁で、こうしてお孫さんの代である大野さんに、今でも建具をお願いできるのは、ありがたいこと」と話されていたのが印象的でした。

職人とお客さまとの、信頼で結ばれたすてきな関係が、これからも続いていきそうです。

2016年3月

■PROFILE

大野建具有限会社

2代目の父と3代目の息子の二人三脚で営む建具店。【グッドデザインしずおか2014 文化賞】を受賞した「夏戸」は、風通しの良さはもちろん、繊細なデザインが見た目にも涼しげです。遠州地域とその近隣地域で、障子やふすまの修理・張り替えを出張サービスで行っています。

■ホームページ:http://oonotategu.hp.gogo.jp/

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