遠州ブランドスピリッツ

STORY

日本文化が宿る、建具のある空間

2014.12.22
■インタビュー/大野建具有限会社 建具職人 大野 浩二
【第2話】

忘れられつつある、建具本来の良さ

壊れてわかる、「ほんもの」の良さ

T建具の作り方は、昔と今で変わったところはありますか?
大野いろいろな部分が変わっていますが、最近のものは特に、見えない所は、簡略化している場合や、昔は修理ができるように作っていたものが、今は修理ができない場合が多いです。
Tそんな違いがあるとは、気がつかなかったです。
大野たとえば、昔ながらのふすまはフチ(枠)が外せるように作ってあります。最近の量産品などは、のりを入れて、ばらせないようになっていたり、表面の下地材が、紙の圧縮材や段ボール系の素材になっていて、張り替えに適してなかったり、ということもあります。フチを外してばらせることができれば、ふすま紙が少し破れたときや、フチを犬がかじったなどというときも、補修ができるのです。
T作る側としては、それだけ手間も掛かるのではないですか?
大野そうですね。調整のために1本(ふすま1枚分)の建具を「外して組む」という作業を、3回くらい繰り返すのです。
T3回も!?
大野はい。完成してしまえば、外からは違いは分からないのですが、壊れたときや、長年使っていった時に差が出てくるのです。

削って調整することで、家の変化にこたえる

大野皆さん、家を建てるときに、建具1本の値段を、しっかり確認することは少ないと思います。けれども、1本2万円以下の建具は、あまりないと思います。1本あたり2万円とした場合、4本で8万円でしょう。

そう考えると、建具は安いものではないのです。家というのは、建てて10年ぐらいで落ち着いてきて、細部の寸法が微妙に変化します。そのときに建具の調整が必要なのですが、その調整ができないとなると、ちょっともったいない気がします。
T確かに。
大野直せないと、結局、枠も含めて全体を作り替えるしかなくなります。逆に、木で作ってあれば、何十年たっても、動きがちょっと重いというものは削って直せます。

変化する木の風合いも、楽しみに

大野木でできたものを長く使うということは、木の風合いの変化も楽しめるということです。スギなどは、時間が経つにつれ、あめ色に変化して高級感や落ち着いた雰囲気が出るので、個人的にとても好きです。
Tそうなのですね。
大野ただ、昔は木にこだわりのあるお客さまも多かったのですが、最近はそういった方も減っています。ですから逆に、予算や用途によって、こちらで樹種をご提案することが多いですね。
T具体的には、どのような感じでしょうか?
大野例えば、他の部分で使っている木と同じ樹種で合わせたり、逆に、他の部分にはヒノキを使っているけれど、それほど予算を掛けなくてもいい所なら、木目や色目が似ているツガという木を使ったりします。また、雨にぬれる所であれば、ヒバという水に強い木を使うといったご提案をします。

完成したときや、見た目だけではわからない木の良さも、一緒に提案できたら、と思います。

つづく



■PROFILE

大野建具有限会社

2代目の父と3代目の息子の二人三脚で営む建具店。【グッドデザインしずおか2014 文化賞】を受賞した「夏戸」は、風通しの良さはもちろん、繊細なデザインが見た目にも涼しげです。遠州地域とその近隣地域で、障子やふすまの修理・張り替えを出張サービスで行っています。

■ホームページ:http://oonotategu.hp.gogo.jp/

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