遠州ブランドスピリッツ

STORY

庭からはじまる、心地よい暮らし

2014.10.20
■インタビュー/株式会社 ナインスケッチ 代表取締役 田中 俊光
【第3話】

つくって、育てる。これからの庭

完成した時が、庭づくりのはじまり

T「雑木の庭」の完成後の手入れは、どのようにしていけばよいのでしょうか?
田中従来の庭は、完成したときが最高の状態で、剪定は現状維持のために行っていましたが、「雑木の庭」はその逆で、「管理しながら庭全体を成長させていく」という考え方です。木が成長していく中で、枝葉が上に伸びて、空間が広がります。
T庭に「小さな森」を作っていく感じですね!
田中まさに、そんな感じですね。樹木の管理に関しては、庭を引き渡した後も関われたら、と思います。木1本で見るのではなくて、庭全体として管理するというのは、意外と複雑なのです。光の入り具合などを見ながら、今度はこの枝を伸ばすために、その上にある枝を切る、というように、少しずつ育てていきます。

木も意味があって枝葉を出していると思うので、僕自身も、これからもっと色々な経験をして、そういった部分をより深く勉強していきたいですね。

手に入らない木は、苗木から育てる

T「雑木の庭」をつくる上での難しさは、何でしょうか?
田中一番は、植えたい木が手に入りにくいということです。「雑木の庭」の主軸となるコナラなどは、昔は庭にとって必要ない木として扱われていました。大きくなったら、切って薪(まき)にしたり、シイタケのホダ木にしたりしていたのです。
T庭を構成するための木が、手に入らないという状況は、かなり辛いですね。
田中そうですね。それもあって、実は少し前に、自宅の近くに畑を借りました。これから、苗木を仕入れて、自分で育てようと思っています。
Tそれは、壮大な計画ですね!
田中はい(笑)。いずれ、雑木林になればいいな、と思っています。

過去から学ぶ、「庭と住まい」の未来

田中木を育てることもそうですが、やはり、庭や建物の配置、開口部や窓の位置も含め、住宅計画の最初から外回りのプランを提案できるようになれれば、と思っています。そうすれば、通常はスペースを設けない西側や北側にも、植栽を配置することができ、西日を和らげたり、クールスポットをつくったりと、「雑木の庭」の効果も大きくなります。

昔の家には「屋敷林」というのもありました。地域によってはまだまだ残っていて、「土地は売っても屋敷林は売るな」と言われていたほど、屋敷林を大切にしていました。
Tそれほど、大事なものだったのですね。
田中はい。そういった、雑木が生活の一部の中にあった「昔の暮らし」から学ぶことが、今の時代に生きる僕たちにとって、大事なのではと思うのです。自然の力や緑の力を取り入れていくことが、これからの暮らしに必要なことではないでしょうか。

「雑木の庭」を通して、自然と寄り添う暮らしのあり方を、多くの人に伝えていけたら、と思います。

2014年9月






■PROFILE

株式会社 ナインスケッチ

2013年の創業以来、造園から外構など建物の外回り全般を手がけています。庭づくりのメインコンセプトである「雑木の庭」は、樹々の持つ力を生かし、住環境を建物の外から改善するというもの。2014年に出展した、浜名湖花博・庭園コンテストでは、浜松市長賞を受賞し、注目を集めています。

■ホームページ:http://www.9sketch.com/

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