温室メロン

2014.09.24
【第2話】

収穫まで

ひと株にひと玉を、じっくり育てる。

遠州地域の温室メロンの産地と言えば、袋井市とその周辺地域。水田や茶畑が広がる袋井市の郊外で、メロン農園を営む「名倉メロン農園」を訪ねました。

名倉さんの農園では、年間を通してメロンを収穫しているため、常に土づくりや苗作り、交配などのあらゆる作業が、365日、平行して行われています。メロンの種を植えてから収穫までは、約100日。50日目頃に咲いた雌花が実となります。収穫されるのは、1つの株から1玉のみ。その1玉を収穫するまでは、毎日のきめ細やかな管理が欠かせません。

メロン栽培のための、知恵がつまった温室。

温室には、雑菌が入らないように靴の裏を消毒し、手を洗って入ります。「アールス・フェボリット種のメロンは本当にデリケート。いいものを作るためには、こうした、ちょっとした気づかいが欠かせないのです。」と名倉さん。温室内の土も、地面からは分離され、なるべく外の環境の影響を受けない構造になっています。

メロンの実はどれも、土から数十センチのほどの、一定の高さに付けられています。実はこれも、おいしいメロンを作るための工夫。光の当たり方や湿度、温度などがなるべく均一となるよう、ツルを調整して高さを揃えているのだそう。実の周辺の茎や葉は、実に当たらないよう仕立てられ、収穫日の目安として、花が咲いた日の日付が葉に刻まれています。

いくつもの小さな工夫が積み重なって、最上の甘味と香り、見た目を備えたメロンができるのですね。

収穫は、ひそやかな儀式のように。

大切に育てた、1株にたった1つだけの実。収穫時期を迎えたものの中の1玉を選んで、糖度を測り、収穫日を決めます。天候や日射量、気温によって、基準となる糖度に達するまでの日数が変化するため、毎回の確認作業は欠かせません。糖度が足りない場合は、辛抱強く、もう数日収穫を待ちます。

いよいよ収穫の日。実とつながるツルの2箇所に、ゆっくりとハサミを入れ、株から切り離します。ビニール紐で吊られている実は、ツルを切っても宙に浮いたまま。最後にビニール紐にもハサミを入れ、ゆっくりとメロンの実が収穫用の箱に収められます。ずっしりと重い果実が切り離された株は、こうして静かにその役目を終えました。

「年中メロンを作っていると、365日、目が離せないというのは大変です。でも、自分が作ったメロンを食べてもらって、食べてくれた人が『おいしい』と言ってくれる、それが一番ですね。」そう話す名倉さんの目線は、やはりメロンに向けられています。




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