TOWTOWMI SELECTION

STORY

ゆっくりと近づく、未来の郷土料理

2014.06.05
■インタビュー/イタリア料理 ラカーサ 加納 久寛
【第5話】

イタリア料理の中の「遠州料理」

運ばないことが、一番のぜいたく

T食材選びのこだわりはありますか?加納もちろん、いい食材を使うことは大事ですが、「食材を運ばない」ということです。例えば、ある野菜を使いたいがために、それをすごく遠方から取り寄せる、というようなことはしないようにしています。これは、イタリア人の考え方に通じると思います。

オリーブオイルやワインは難しいですが、浜松は、野菜が魅力的な町ですから、野菜に関しては特に地元のものを使いたいです。Tそうですね。種類も豊富ですしね。加納魚介類も、牡蠣やアサリは小さい頃から食べていたというのもあって、体に染み付いています。ただ使いたい、という気持ちだけではなくて、おいしいから出します。味付けはイタリア料理でも、自分が作ることによって、イタリアの田舎の人たちから教わった、「その地方の料理」につながるのではないかと。

ですから、これはあくまでもイタリア料理の中の、遠州地方の「遠州料理」なのだなと思います。自分の中では、そう思っています。

人も時間もゆったりと流れる、遠州と南イタリア

T遠州地域と南イタリアでは、似ている部分はありますか?加納日照時間が長くて、温暖で、人もおっとりしているところ。その風土は南イタリアのポカポカした感じに似ているなと思います。どちらも、よくも悪くも田舎です。Tああ、確かに、田舎かもしれませんね。加納時間もゆっくり流れています。浜松は、そういう意味でも温かい街で、みんなの懐も広いです。だから、都会から浜松に来た人が、「ゆっくりしていていいんじゃない?店もゆるいね」と思ってもらえればいいかなと思います。

料理をふるまいながら、さまざまな人生に出会う

T今後は何か、考えていることや、やってみたいことなどありますか?加納20代のころの夢は、浜松から名古屋や東京に進出しよう、という夢もありましたが、今はこの街で、料理人として続けていきたいと思っています。もちろん、レストランだけが料理のアクションではないので、生産者になってみたいという気持ちもあります。例えば少し山に近いところに住んで、家畜を育ててチーズ作りをやってみたいとか、そんなことを考えています。Tそのチーズを使って、自分で料理をしたりとか、いいですね。加納いろいろなアプローチの仕方があると気づいたんです。去年この店を始める前に、国産ワインについてもっと知りたいと思って、山梨に行ったんですが、そこで、知り合いに連れて行ってもらったカフェにしても、レストランにしても、メニューをパッと見ると、全部山梨産なのです。ビールも山梨の地ビールだし、日本酒もワインも、ウィスキーも山梨で造っている。
 
こういうお店がもし浜松でもできたら、面白いのではないかと思いました。Tそんなお店があったら素敵ですね。加納でも、今のところ、何となくそうしたいと思っているだけで、それがはっきりとした夢というわけではないですね(笑)。

だから、お店をしながら、たくさんの人と出会って、たくさんの人とおしゃべりをして、こんな生き方もあるんだ、ということを知っていきたいです。たくさんの人に料理をふるまって、今の場所で楽しみながら長くやれたらいいなと思います。それが、今の自分の夢ですね。

2014年3月

■PROFILE

イタリア料理 ラカーサ

カウンター席中心のこじんまりとした店内は、お客さん同士の距離も自然と縮めてくれます。オーソドックスなイタリアの田舎料理から遠州の旬の素材を使ったオリジナルメニューまで、気取らないイタリア料理と、加納氏セレクトの個性豊かな国産&イタリアワインを楽しめます。


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