TOWTOWMI SELECTION

STORY

ゆっくりと近づく、未来の郷土料理

2014.05.29
■インタビュー/イタリア料理 ラカーサ 加納 久寛
【第3話】

街中で見えた、「ラカーサ」の新しいかたち

意図からずれてしまった、最初の移転

T街中に移転しようと思った「きっかけ」は何ですか?
加納イタリアでの食事とワインの関係を知れば知るほど、ラカーサでも、それを楽しんでもらえるお店にしたいと思うようになりました。ただ、郊外でお酒というと、運転の問題があります。そこをクリアするための移転でした。それで、2012年に、浜松市の中心街の肴町(さかなまち)に移転しました。
T実際に移転してみて、どうでしたか?
加納そうですね、、、ちょっと自分の目指していたものとは違う、というのを感じました。やはりお酒は飲んでもらえるのですが、料理に関しては最後にパスタを食べるだけで終わりということも多くて、ワインと一緒に楽しんでもらいたい、という自分の意図とは違ってしまいました。
Tお店も今より少し大きかったのですよね。
加納そうですね、それもあって、純粋な料理人としての仕事よりも、経営者としての仕事が増えてしまって。そのことで、店を構えること自体に疑問を感じて、料理と素直に向き合えなくなりました。それで、一旦店を閉めました。
加納そんなときに、飲食業の仲間と話をして、「もう僕は、店はやらないです」と言ったら、「絶対にやらなければ駄目だ」と言われて。「いずれやりますよ」と言ったら、「いずれやったら、ラカーサなんて忘れられるよ。やるのだったらすぐ、やらないのだったら一生やらないことだ」と言われて、それなら、と妻を説得しました。
Tそれで、今の神明町に移転されたんですね。肴町のお店を閉めてから、どのくらいですか?
加納3、4ヶ月くらいです。
Tそれは、早いですね!
加納はい(笑)。同業の先輩たちにも、「早いほうがいいとは言ったけど、そこまで早くしろとは言っていない」と言われました。

お客さんを間近に感じるカウンター

T今の、カウンターメインのお店になって、お客さんとの距離感はどんな風に変わりましたか?
加納お客さんの年齢や、どういう食事をしているかを会話の中で引き出せるので、1グラムの塩を足すか足さないかを、自分の中で考えて出すことができます。「今日はお酒をたくさん飲んでいるから、あまり薄味にすると物足りなさを感じるかな?」というのを、近い距離で見られるようになります。前の肴町でやっていた広いお店では、お客さんがどんな表情で食べてくれているのかを、自分が近い距離感で見れなかったですから。

僕の側も、今はもっと近い距離で、自分がやりたいことを、お客さんとの会話の中で伝えることができるし、お客さんにも伝わってほしいというのはあります。

つづく





■PROFILE

イタリア料理 ラカーサ

カウンター席中心のこじんまりとした店内は、お客さん同士の距離も自然と縮めてくれます。オーソドックスなイタリアの田舎料理から遠州の旬の素材を使ったオリジナルメニューまで、気取らないイタリア料理と、加納氏セレクトの個性豊かな国産&イタリアワインを楽しめます。


go to pagetop