宿泊セレクション

STORY

「意志」から生まれた「遊び」の空間

2014.08.25
■インタビュー/葛城 北の丸 料理長 村木 正行
【第3話】

変わらない空間で「ここだけの料理」を

「料理」・「空間」・「おもてなし」で完結する

T北の丸の料理長である村木さんはこちらで働かれて何年目くらいですか?
村木実はヤマハリゾートの別の施設から北の丸に異動して、まだ半年くらいで、料理長はこの4月に交代したばかりです。ただ、北の丸は3回目で、過去にも働いたことがあります。
Tその頃と比べて、北の丸の印象は変わりましたか?
村木いいえ、北の丸に関しては、基本的には昔からそれほど変わらないです。伝統とまでは言いませんが、ここは観光地というわけではありませんから、建物とおもてなしとお料理だけで勝負するといいますか、そういう感じが昔からあったのです。

原点は、素材からつくる「エピキュリアン料理」

T北の丸の料理とは、どういうものなのですか?
村木開業当初から、オーナーが「ほかではないお料理を目指していこう」ということで、「エピキュリアン料理」という名前を付けられました。「エピキュリアン」というのは、エピクロスという古代ギリシャ時代の哲学者が提唱した、「善をもって快を為す」という、食べることが究極の贅沢だという考え方です。
T「ほかではない」というのは、具体的にはどういうことなのでしょうか?
村木以前はこの敷地の中に圃場(ほじょう)を持っていたのです。敷地内にある一山を確保して、そこで専門家が、他ではなかなか手に入らない野菜類、山菜類、あとはフルーツなどを自前で全部育てていました。鴨やホロホロ鳥、それからキジやイノブタなども飼っていましたね。
Tそういう意味では、確かに、北の丸でしか食べられない料理ですね。
村木そうですね。ただ、和食の根底にある、基礎的なものは崩さない料理ですが、温泉旅館などのお料理ではなくて、お客さまに合わせたような、そしてかつ、よそでは食べられないようなものをお出ししましょうというのが、もともとのコンセプトです。

今ではもう、そういうものが当たり前になっていますけれども、あの当時はかなり先進的なお料理だったと思います。

大切な人との、思い出によりそう料理

T記念日で来られるお客さまも多いと思いますが?
村木非常に多いですね。結婚式もやっているので、そこでお子さんが生まれたら、次は入学式・・・と、お子さんの成長の節目にいらっしゃることもあります。中には、お祖父様が30年前に来て、今度はお孫さまを連れてくるという場面もあります。
Tそれは、感慨深いですね。
村木そうですね。僕たちとしても、そういうお客さまにお会いすると、本当に嬉しいのです。そこで、やはり、将来につながるようなお付き合いのできる、そんなお料理をお出しできれば、と思っています。料理というのは食べるだけではなくて、そういう思い出が一緒にあることによって、一層味わい深いものになりますので。

つづく

■PROFILE

葛城 北の丸

元々は隣接するゴルフ場の宿泊施設として開業した、日本建築の宿。緑豊かな庭と、大胆でありながら繊細な建築空間は、あわただしい日常を忘れさせてくれます。家族や大切な人との記念日や、人生の節目にふさわしい、遠州の名宿です。


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