宿泊セレクション

STORY

「意志」から生まれた「遊び」の空間

2014.08.21
■インタビュー/葛城 北の丸 統括支配人 榛葉 勝行
【第2話】

何もしない贅沢が「葛城(かつらぎ)時間」

惜しみなく使われた、日本の銘木たち

T「城らしさ」というのは、建築にも反映されているのですか?
榛葉そうですね。北の丸は、城といっても、いわゆる「山城」ではなく、平地にある「平城」をイメージしていて、いくつかの棟からなっています。実はそれらの建物が、郭松(かくしょう)門から奥にいくに従って、50cmずつ床の高さが上がっているのです。少しずつ城を上がっていく、そんなイメージです。
Tそうなんですね。
榛葉奥の間へ行くほど、そういった空間のおもしろさや奥深さが味わえるのも、北の丸の良さなのです。それから、ヤマハの楽器づくりの技術も内装などに使われています。やはり、木の特性を知り尽くしていますから。たとえば、先ほど見ていただいた椿殿の天井は、一枚板の曲げ板が使われていますが、ああいった成形技術も楽器づくりで培ったものです。
Tなるほど。
榛葉今ではもう、欲しくても手に入らないような木もたくさん使われています。桐殿の入り口に使われている神宮杉なども、あれだけの幅があるものは、もうありません。

オーナーはヤマハ・天竜工場の工場長もされていた方でしたので、その頃から、「いつか使えるかもしれない」と、銘木を買い集めていらっしゃったのです。
Tまさに、「城」ですね。
榛葉ええ、本当にそうです。

季節の移ろいを感じながら、ゆったりと過ごす

T北の丸では、皆さんどんな風に過ごされていますか?
榛葉北の丸はゴルフ場のホテルとして開業したものですから、ゴルフをされる方が当然いらっしゃいます。

でも、その他に、「何もしたくないから、北の丸に来る」という方も多くいらっしゃるのです。以前は、北の丸は携帯の電波が入りませんでしたから、「北の丸に来ると、携帯が使えないからいいんだよね。仕事を忘れられるんだよね」とおっしゃって。今はもちろん、携帯もパソコンも使えるようになりましたけれども。
T確かに、「何もしない」というのは贅沢ですね。
榛葉はい。自然の中にあって、季節感も感じられる。本を書いたり、考えごとをするには、北の丸は本当にいい場所です。やはり普段の時間の流れとは別の感覚で、何も考えずにゆっくり過ごせる「葛城時間(かつらぎじかん)」を提供するのが、北の丸です。

つづく





■PROFILE

葛城 北の丸

元々は隣接するゴルフ場の宿泊施設として開業した、日本建築の宿。緑豊かな庭と、大胆でありながら繊細な建築空間は、あわただしい日常を忘れさせてくれます。家族や大切な人との記念日や、人生の節目にふさわしい、遠州の名宿です。


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