次郎柿

2014.10.29
【第2話】

収穫まで

大平の柿園を訪ねる。

秋も終りに近づいた11月下旬の昼下がり、大平(おいだいら)地区の柿園を訪ねました。この時期はちょうど次郎柿の収穫最盛期。真っ赤に色づいた実がたわわにみのる木々が、斜面一面に広がります。
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畑で収穫の合間に、柿園のご主人が話してくれました。「一日でこのコンテナに150?200杯収穫するよ。朝の9時から夕方の5時まで。もうずっと柿をやってるけど、この仕事を全然辛いと思った事はないね。」
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柿園を営む足立さんは、この地域でいち早く柿の直接販売を始めた農家のうちのひとり。地元の農業経営高校で「日本の農業の最先端を目指す」という教育を受け、それを実践してきました。今では周りの柿農家も、直売所での販売や地方発送をするようになりました。

一番底の柿は並べて。

柿園の柿の木は、ちょうど人の手が届く範囲に枝が整えられています。収穫するときは、ハサミで切った柿をまずは肩から下げているカゴに入れます。カゴがいっぱいになると、それを木々の間に置いてあるプラスチック製のコンテナへ空けます。
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コンテナの底には、柿が傷つかないよう新聞紙が敷かれていています。一番底になる柿はきれいに並べ、その上からゆっくりと残りの柿を入れていきます。子供を扱うように、やさしく柿をカゴからコンテナに移します。ごつごつとした手の先からは、柿への愛情が伝わってきます。

採れたてを皮ごとほおばる。

作業の合間に、ひっくり返したコンテナに腰掛けて一休み。足立さんはカゴから採ったばかりの柿をひとつ取り出して、半分に割るとその片方をくれました。
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「柿はこうやって、皮ごと食べるのが一番なんだよ。これがいちばんおいしい。」

口に入れてみると、皮はやわらで、口の中ですんなりと果肉と馴染みます。こんなに違和感なく食べられてしまうのも、もぎたてだからこその贅沢。

また、新鮮な柿の実の表面には白い粉がついていますが、これは農薬ではなく、柿が自己防衛として自然に分泌するもの。「果粉」と呼ばれる油分で、果実を病気や乾燥から守ってくれます。
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大平では、次郎柿は渋柿と同じように干し柿にもなっています。皮を剥いて、カゴの上で天日干しした「干し次郎」。大きさは普通の干し柿の倍以上。丸々と大きな実が次第にぺたんこになっていくにつれ、色も一段と凝縮され、鮮やかさを増します。

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