エシャレット

2014.06.11
【第2話】

収穫まで

手間のかかるエシャレットの出荷作業。

浜松市南区松島町でエシャレット栽培をする村井智(さとし)さん。27歳のときに家業をついで以来、35年エシャレット栽培に携わっています。

このあたりでは、エシャレットは7月から9月頃に植え付けをして、早ければ10月下旬頃から出荷をはじめます。年間を通して、エシャレットを専門で作っている農家もありますが、村井さんは一年のうち半年間はエシャレット、それ以外の期間は別の野菜を栽培しています。

「一年中エシャばっかりだと、ずっと同じ作業だし、季節や曜日もわからなくなっちゃうからね。」

そう、苦笑いをしながら話してくれました。エシャレットを「エシャ」と呼ぶのも、長年栽培に携わってきた、この小さな野菜への愛着がにじみ出ています。

エシャレットは、収穫後にとても手間のかかる野菜。朝、収穫したエシャレットを、まずは畑でざっと水洗い。その後、空気圧を使った専用の機械で、外の皮を吹き飛ばしていきます。さらに残った皮を手でむいて調整すると、つやつやの表面が出てきます。ここでまた水洗いをして、束ねる作業に。

「島田結い」でエシャレットらしく。

エシャレットといえば、その独特な束ね方を思い浮かべる人も多いはず。「島田結い」と呼ばれるこの束ね方は、少々手間がかかりますが、エシャレットらしさを演出するのには欠かせないものです。定規をあてて、葉の部分を折り曲げていき、ラベルテープで留めます。最後に余った葉と根をカットして完成。

最近では、シンプルに束ねただけのものも出しているそうですが、全国的にはこの「島田結い」がエシャレットのイメージとして定着しているそうです。

島田結いが完成したエシャレットは、さながら嫁入り前の娘のよう。しっかりとおめかしをして、準備万端です。

夫婦二人三脚でつくる野菜。

今でこそ、植え付けなどはある程度機械化されたエシャレットですが、出荷作業を中心に、まだまだ人手のかかる野菜。収穫や皮むきなどの作業は男性が、島田結いなど束ねる作業は、手先が器用な女性が担当することが多いそうです。村井さん夫婦も、作業用の小さな部屋で、二人揃って出荷作業をします。

「若い頃は、子育てで大変な時だったから、よく喧嘩しながらやったよ。それでも夫婦で一生懸命働いたもんです。今は喧嘩するのも通り越したけどね(笑)。」

穏やかに笑いながら、二人とも手際良く作業を続けていきます。部屋には、エシャレットの少しツンとした香りが漂います。



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