遠州ブランドスピリッツ

STORY

進化し続ける、大工の木の家

2017.02.27
■レポート/有限会社石牧建築 

地元の木材を使い、伝統的な「手刻み加工」で柱や梁を1本1本加工する石牧建築さん。大工の手仕事を大切にしながら、機能性やデザインにもこだわり、新しい素材や技術をとりいれるなど、日々進化を続けています。

【第1話】

木の家をいろどる、素材づくり

挑戦してはじめて、見えるもの

1年ぶりに石牧建築さんの春野町の工房を訪れると、代表の石牧さんとスタッフの佐原さんが迎えてくれました。

佐原さんは1年前に入社して以来、設計や現場監督業務と並行して、石牧さんとともに新たな素材づくりなどにたずさわっているそうです。

(写真左)佐原さん(写真右)石牧さん

この日はちょうど、始めたばかりの「焼杉」の試作中でした。焼杉は、杉の表面を焼いて炭化させることで、黒々とした独特の風合いだけでなく、耐火性や耐久性を高める効果も得られる、伝統的な加工法。佐原さんが独学で調べた方法で何度かためし、現在は改良中とのことです。

手順はいたって原始的。3枚の杉板を三角形に組み、紐でしばったものを脚立に立てかけ、下から火種を入れると、たちまち上部から煙が立ちのぼります。いわゆる「煙突効果」で下から上へと火がまわり、内側の面を焦がしていくのだそう。とは言っても、原始的な分コントロールがむずかしく、紐をほどくまで焼き上がりの具合はわかりません。

「火の回りをなるべく一定にして焼きムラを減らすなど、まだまだ課題がありますが、それもやってみたから見えてきたこと。少しずつ改善していけば、良いと思います。」と話す佐原さんの表情は明るく、ものづくりを心から楽しんでいる様子です。

近い将来、石牧建築さんが建てた家で焼杉を目にするのが楽しみですね。

開発も生産も、自分たちの手で

焼杉に先立って、昨年はオリジナルの珪藻土(けいそうど)を開発したそうです。

「市場に出回っている珪藻土は、樹脂や防カビ剤などの人工物が混ざっているものもあり、そのまま石牧建築として使うのはどうだろう、と思っていました。そこで、せっかくならオリジナルの商品を作ろうということになったのです。」と佐原さん。
材料メーカーと素材の配合などを考えてできたのが、セルロースやでんぷん糊などを混ぜた自然素材100%の珪藻土。第一弾は、カラーバリエーションをあえて抑えて、素材の質感を最大限に生かしたそうです。化学的にも中性なので、酸性やアルカリ性の素材を混ぜることも可能なのだとか。

「今は色合いも性質もニュートラルですが、今後、地元の素材を配合するなどして、新たな商品を開発していければと思います。」と石牧さん。

石牧さんによると、これらの取り組みには石牧建築の家に新たなデザイン要素をとりいれる、ということのほかに、もう一つ、大切な意味合いがあるのだそうです。

大工や現場監督の仕事と違い、素材生産などの軽作業ならば、女性や高齢者、障がいのある方にも働くチャンスが増えます。自分自身も含め、いろいろな世代や立場の人が長く働ける環境を石牧建築としてつくることができたら、という想いも、素材開発をはじめた理由の一つなのだそうです。

つづく

■PROFILE

有限会社石牧建築

遠州・天竜地区でとれる木材を使い、伝統的な「手刻み加工」による家づくりを手がけています。杉やひのきの山林に囲まれた、浜松市天竜区春野町の加工場は、街中の喧噪から離れ、木とじっくり向き合える場。そこから生み出される家は、まさに「遠州生まれ・遠州育ち」です。

■ホームページ:http://www.ishimaki.com/

go to pagetop