遠州ブランドスピリッツ

STORY

地域とつながる、遠州銘菓

2015.03.26
■インタビュー/和洋菓子司 入河屋 松嵜 善治郎
【第2話】

時代に合わせた「その土地らしさ」

一年中手に入る、三ヶ日の手みやげを

T入河屋さんといえば、「みかん最中」が有名ですが、いつ頃できたものなのでしょうか?
松嵜みかん最中は、私の祖父にあたる、三代目が作りました。三ヶ日はみかんの産地なのですが、もともとお菓子というのは、「菓子」と書くぐらいなので、果物の代わりとしての役割がありました。そして、贈答用という役目があります。
T確かにそう言われてみれば。
松嵜お菓子屋も、手みやげに買っていくとか、その土地を訪問した人が、おみやげに買って帰る、というふうに利用されていました。そんな中で、三ヶ日には、みかんの時期以外はみかんがないので、三ヶ日らしい手みやげがない、という状況がありました。
Tなるほど。
松嵜そこで、「三ヶ日ならでは」で、年中手に入るものを考えよう、ということでできたのが、みかん最中というふうに聞いています。

型取ることで、その土地らしさを表現する

T最中にみかんを使うというのは、難しかったのではないですか?
松嵜実は最初は、最中の皮がみかんの形というだけで、みかんは入っていなかったのです。
Tそうだったのですね。
松嵜昔はそんなに材料も豊富ではないし、冷凍や冷蔵の技術もない時代なので、季節ごとの素材を保存することが、まずできません。その代わりに、形やパッケージで表現するのです。

本物のみかんを入れるようになったのは、戦後です。農業試験場の方と話をしたときに、摘果するみかんの話題が出ました。まだ実が青いうちに間引きして、捨てるのですが、どうせ捨てるみかんであれば、それを利用しようということで使ったのです。

地域の資源を、余すことなくいかす

Tみかん最中以外には、地元の素材を使った商品はありますか?
松嵜みかんを使ったものは、他にもいろいろありますが、今年に入って、うなぎを使った煎餅を発売しました。
T何かきっかけがあったのでしょうか?
松嵜三ヶ日だけでなく、もっと広いエリアの「地元」のおみやげものを作りたいという思いは当然ありました。それに加えて、近年のうなぎの資源問題なども、知り合いのうなぎ屋さんから聞いていて、何か力になれないか、と考えたのがきっかけです。
Tなるほど。
松嵜うなぎそのものが減っていく中で、希少価値があるうなぎを、もっと有効に活用できないか、と考えたのです。通常は捨てている、うなぎの頭の部分を肥料にして、それを使って育てたお米として「うなぎ米」というのがあるのですが、この煎餅は、その「うなぎ米」を使って作りました。
Tそんなお米があるのですね!
松嵜はい。あとは同じように、うなぎの頭から抽出したコラーゲンを、パウダーにしたものが入っているのです。要するに、うなぎを実際に使うのですけれども、廃棄されて無駄になっているものを有効利用しよう、ということです。地元でうなぎを扱う方たちにとって、今は厳しい状況ですから、そこを少しでも補えたら、と思ったのです。
T地元の素材を使うのは、難しい部分もあるのではないでしょうか?
松嵜細かい部分での大変さは、当然あります。しかし、どんな素材を使ってもそれは同じです。人ができないことをやるというのは、職人冥利なことで、私の中ではどちらかというと楽しくやっています。大変な分、それを形にすることで喜びに変わってきます。

つづく




■PROFILE

和洋菓子司 入河屋

明治18年創業の和洋菓子店。三ヶ日みかんを使った「みかん最中」をはじめ、地元の素材をいかした菓子づくりを続けています。三ヶ日町の本店、豊橋湊町店、遠鉄店(遠鉄百貨店内)の3店舗ほか、一部商品はオンラインショップでの購入もできます。

■ホームページ:http://www.irikawaya.co.jp/

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