遠州ブランドスピリッツ

STORY

地域で生まれる、農業と福祉の新たなかたち

2019.10.10
■インタビュー/株式会社ひなり 渡邊香織

東京に本社を構えるIT企業の特例子会社「ひなり」。約10年前に開設したここ浜松オフィスでは、さまざまな障がいを持ったスタッフが地域の農家から請け負った農作業に取り組み、通称「ひなりモデル」として注目を浴びている。その開設の経緯とこれからの想いを訊いた。

【第2話】

チームの力で、農業を支える

ひとつひとつの積み重ねが、信頼につながる

T実績を重ねることで、お仕事の依頼も増えてきたのですね。
渡邊農業にはいろいろな作物があって、いろいろな作業があります。特に収穫期は忙しい時期です。現在ひなりでは、トマトやアスパラガス、ブロッコリーやキャベツなど、たくさんの農作物の作業に携わらせていただいています。
Tひなりさんがお仕事を受ける中で、意識していることはありますか?
渡邊例えば収穫の場合、単純に採ればいいというものではありません。農家さんの大切な商品ですから、収穫できる作物を判別し、丁寧で正確な作業が求められます。こうしたことを企業として責任を持ってお受けし、社員全員が一つひとつの仕事をきちんと果たしていくことで、信頼をいただけるようになりました。

チームを支える、大きな存在

T現場では、どんなふうに農作業を進めているのでしょうか?
渡邊当社で、障がいのある社員たちを支援・指導しているのが、健常者の「サポートマネージャー」です。サポートマネージャーの役割は、業務の管理や品質のチェック、障がい者社員がスムーズに作業できるよう支援・指導することなど多岐にわたります。それぞれの力を発揮できるように、日々努力してくれています。
T農作業の現場で、みなさんが使っている道具を見かけました。あれはどんなものなのですか?
渡邊作業を助ける道具(治具:じぐ)です。例えば、農作物の収穫の際に長さの目安になる治具を、木材やゴムなど身の回りのものでサポートマネージャーが作成しています。他にも、農作業現場でこんなものがあるといいな、と考えると、事務所に帰ってオリジナルの治具を人数分作ったりしてくれています。
Tそうなのですね。
渡邊治具を使って効率を高めたり、一人ひとりのスキルが上がったりすることで、大きな成果をあげられることがあります。そんなチームとしてのマネジメントをしているのがサポートマネージャーで、みんなの成長を目標に業務に取り組んでくれています。また、農家さんにとっても、細かなオーダーを伝えられるサポートマネージャーの存在は、とても大きいのです。

農業と福祉をつなぐ、新たな連携の形

T農家さんと障がいのある社員のみなさんをつなぐ、大切な役割を担っているのですね。
渡邊農家さんは労働力の不足が課題となっています。しかし、一年を通して人を雇用することはなかなかハードルが高いのが現状です。収穫期のように忙しい時期が偏っていることも多いので、必要な時に必要な業務をお願いできるという点が、とても助かっていると言ってくださいます。

このように、農家さんから農作業を請け負って作業工程の分解を行い、作業手順書や必要に応じて治具を準備する、そして、業務と品質の管理、労務管理を行う形態は「ひなりモデル」といわれており、みなさんに知っていただく機会が増えてきました。
T農業での人手不足と、障がいのある方々の力を発揮できる場づくり。そんな地域の課題を、ひなりさんがつないでいるように感じます。
渡邊農業と福祉、そして私たち企業がそこに入ることで、地域に貢献できる新しい形を作ることができたのかな、と思っています。

つづく

■PROFILE

株式会社ひなり

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社の特例子会社として、東京都と浜松市に事務所を構える。浜松オフィスでは、地域の農家から委託を受けたさまざまな農作業を障がい者スタッフが担い、労働力の確保に悩む地域農業をサポートしています。 ■ホームページ:https://hinari.ctc-g.co.jp

go to pagetop