遠州ブランドスピリッツ

STORY

地域で生まれる、農業と福祉の新たなかたち

2019.10.03
■インタビュー/株式会社ひなり 渡邊香織

東京に本社を構えるIT企業の特例子会社「ひなり」。約10年前に開設したここ浜松オフィスでは、さまざまな障がいを持ったスタッフが地域の農家から請け負った農作業に取り組み、通称「ひなりモデル」として注目を浴びている。その開設の経緯とこれからの想いを訊いた。

【第1話】

新たな可能性を、農業に見出す

浜松の地ではじまった、農業の道

T障がい者社員の方々が行う農作業受託、という新たなモデルに取り組まれてきたひなりさんですが、まずはどんな会社なのか教えていただけますか?
渡邊当社は、IT企業の「伊藤忠テクノソリューションズ(略称CTC)」の特例子会社として2010年に設立し、今年で10年目を迎えます。東京と浜松の2つの拠点を持っていて、ここ浜松オフィスでは開設時から、地域の農家さんたちから農作業を請け負っています。障がいを持った社員3~4人に対して、サポートマネージャーという障がいのある社員を支援・指導する役割の社員1人が毎日チームを組んで農作業にお伺いしています。
T「特例子会社」というのは、どんな会社のことをいうのでしょうか?
渡邊従業員45.5人以上を雇用する企業は障がい者を雇用する義務があり、障がい者の雇用を目的として設立した子会社のことを特例子会社といいます。一般的には親会社の清掃や福利厚生を目的としたマッサージなどの業務を請け負うことが多いのですが、ひなりでは将来的なビジョンとして障がい者社員の新たな職域を開拓していこうという目標がありました。

豊かな環境が、大きな魅力に

Tなるほど。そうした中で、農業という分野を選ばれたのですね。
渡邊農業は、作物を生産して出荷するまで様々な作業があります。障がい者社員が力を発揮できる新しいモデルとして、ひなりでは農家さんから定植や収穫、除草作業などを請け負わせていただくようになりました。屋内での作業と比べ、自然の中で身体を動かす農作業は開放感がありますし、工程を切り分けることでいろいろな作業があることも特徴です。
T東京に本社を持つひなりさんが、浜松という地域を選んだ理由はどんなところにあったのですか?
渡邊ここ浜松は一年中出荷できる施設園芸がさかんですし、季節ごとにいろいろな農作物が作られているので、年間を通して仕事があることが魅力でした。

平坦ではなかった、新たな分野の新たな取り組み

Tたしかに、浜松では四季を通していろいろな特産物が作られていますよね。そうした農家さんからの依頼は、自然にいただくようになったのでしょうか?
渡邊いえ、浜松オフィスを開設した頃は、なかなか信頼いただくことができず、お仕事をいただくまでに苦労したのが本音です。最初は報酬をいただかなくてもいいから、と請け負わせていただくこともありました。でも、実際にお仕事をさせていただくようになって、「障がいのある方たちが、こんなに仕事をこなせると思っていなかった」という感想をいただくようになりました。
Tそうなのですね!
渡邊もちろん、障がい特性は人それぞれですから作業のスピードなども個人差がありますが、社員はそれぞれの個性を活かした得意な仕事があります。農家さんからいただいたオーダーにきっちりと応えていくことで、次はこんな仕事もお願いしたいというお話や、新しい農家さんからご依頼をいただくことが増えていきました。

つづく

■PROFILE

株式会社ひなり

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社の特例子会社として、東京都と浜松市に事務所を構える。浜松オフィスでは、地域の農家から委託を受けたさまざまな農作業を障がい者スタッフが担い、労働力の確保に悩む地域農業をサポートしています。 ■ホームページ:https://hinari.ctc-g.co.jp

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