浜名湖の牡蠣

2014.03.18
【第2話】

収穫まで

上流の山の恵みをいただく。

きんと冷えた空気が辺り一帯を包む、冬の浜名湖。朝7時半過ぎに、牡蠣の水揚げを終えた船が戻ってきました。全長10メートルほどの船には、水揚げした牡蠣がぎっしり載っていて、足の踏み場もないほどです。

浜名湖の牡蠣養殖は種付けから収穫まで1年半。毎年夏に帆立の貝殻に種を付け、浜名湖の中に作った棚に吊るしておきます。牡蠣が幼い時期は、潮の流れが良い海に近いところで育て、水揚げ前の冬、川の水が流れ込む奥浜名湖へと移動させます。 川の水には上流の森林地帯からのミネラルが豊富に含まれていて、牡蠣のエサとなる植物プランクトンが繁殖しています。こうして、種付けから約一年半の収穫の時期には、牡蠣が最も良い状態に育つというわけです。

海と山はつながっているー。種付けの時には肉眼では見えないという牡蠣が大きく育ったのを見ると、そんな思いがふいに湧いてきます。

海から陸へ。

船から牡蠣を上げるのは手作業。1人がスコップで牡蠣をすくい揚げ、それをもう1人が持つ網へ移します。

網ごと一旦湖の水に浸けて殻についた汚れを落とし、それを岸にある丸かごの中へ。こうして船一杯の牡蠣をひたすら移していく作業はかなりの重労働です。水揚げは何箇所かの岸辺で行われていて、それぞれ、自分たちの船から揚がった牡蠣を牡蠣小屋へと運び込みます。


牡蠣小屋では殻から身を取り出す「牡蠣むき」の作業に入ります。まずは小屋の外で、塊になった殻をほぐし、死んでいる牡蠣と生きている牡蠣に選別。死んでいる牡蠣は殻が開いているので一目瞭然、とのこと。生きた牡蠣だけを小屋の中に運び、牡蠣むきの作業に。

殻を専用のナイフでこじ開け、身を殻から外します。取り出した身を一瞬の判断で「大」と「小」の容器に分けていきます。冬場は毎日、朝8時頃から3時頃まで、牡蠣むきの作業が続きます。

牡蠣とともに暮らす。

この地域では、牡蠣をむくのは家業で牡蠣養殖をしているお宅の女性陣や、引退後のお父さん達。ご近所さんも手伝いに来ます。 女性の中にはこの道60年の超ベテランのむき子さんも!

「もうずーっとこの仕事をやってるよ。」と、ベテランのむき子さん。それでも「私は下手だからあんまり写さないで。」と照れ隠し。かわいらしい笑顔を覗かせます。

専用の牡蠣小屋を持っている家もあれば、自宅の一部が土間となっていて、そこが作業場となっているお宅もあります。 この地域では、牡蠣養殖と牡蠣むきがまさに生活の一部になっています。

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