山の恩恵

2015.04.28
新緑、薫風といった言葉に象徴されるこの季節、山間部の道路は行楽の車やライダーが目立つようになり、北遠地区も賑やかなシーズンを迎えている。視界の大半に緑が映る森林浴はおすすめのリフレッシュ法だが、更に春の行楽シーズンは、種類豊富な山菜が味わえるというお楽しみもある。
採取はまたの機会として、美味しい自然を味わうべく、「つぶ食のいしもと」を訪れてみた。
いしもとは水窪町内にある雑穀料理の店で、提供される料理には肉や魚といった動物性たんぱく質が使用されていない。
白米に雑穀が混ざっているのはもちろん、サラダには粟のドレッシング、箸休めに柚とヒエのケーキといった具合で、説明を受けないと分からない和え物や揚げ物などが並ぶ。春巻きかと思って口にするとタカキビだったり、白身魚のフライに見えるのが実はヒエだったり、いい意味で騙される、手の込んだ雑穀料理がおもしろい。
そしてそれらと一緒に、この時期お皿を賑わせるのが春の山菜。ウドの芽、コシアブラ、オヤマボクチ…、初めて名前を聞くようなものもある。山菜はどれも所有する山で採取したり、畑の隅で自生させたりしているとのことで、山菜特有の香りが強く感じられる。
こういう時、田舎暮らしの良さを改めて実感する。
人間の手が加わらず、自然の循環で自生する力強い植物は、農薬の心配や野菜の栄養価の低下もどこ吹く風。しかも採取からほんの数時間という新鮮さは、自然の美味しさとともに力強さもいただいているようで、何とも贅沢なことだなと思う。
家族で採取して食卓が賑わうのも、また一興。身近すぎて当然と思ってしまいがちな山の恩恵に改めて感謝しつつ、もうしばらく美味しい春を味わいたい。

COLUMNIST

Kimiko Hirade

浜松市天竜区の最北・水窪町出身。健康で安心安全なライフスタイルに注目。山も海もある浜松の自然を生かし、人にも地球にも優しい日常生活の、更なるグレードアップを目指している。

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