〜遠州地方の城址を訪ねて〜
先月末、遠州地方にとってビッグニュースが飛び込んできました。
2017年のNHK大河ドラマの制作発表があり、主人公は、徳川四天王に名を連ねる猛将井伊直政の養母であり、また女性でありながら井伊谷地区(浜松市北区引佐町)を統治していた井伊家の領主を務め、幕末まで続く井伊家の繁栄の礎を築いた「井伊直虎」に決定したとのこと。再来年の放送が楽しみですね!
そこで、今回紹介するいいとこまんじゅうは井伊直虎が活躍した戦国時代に築かれた、遠州地方に残る城跡を訪れてみたいと思います。
「お城」というと駿府城のような平城、浜松城や掛川城等の平山城を想像される方が多いかと思いますが、遠州地方はかつて今川家・武田家・徳川家が領地争いを繰り広げた地域であり、合戦における拠点として築城された山城や平山城の城址がたくさん存在しているんです。
今回はその中のひとつ、遠州の奥座敷、長野県に接した浜松市天竜区水窪町にある山城「高根城址」を訪れます。それでは早速高根城址へ向かいます!
高根城址へは、旧天竜市、現在の浜松市天竜区二俣町の市街地を抜け国道152号をひたすら北へ向かいます。旧天竜市にも鳥羽山城址、二俣城址といった有名な城址がありますが、そちらはまたの機会に。
天竜区二俣町から国道152号をバイクで走ること1時間ちょっと、水窪町の中心街手前、春野町へ抜ける県道389号線との交差点までやってくると「高根城園地」の案内看板があります。
高根城園地の駐車場へは、交差点を右折し水窪川に架かる橋を渡ってすぐ見えてくる水窪総合体育館の看板を右折します。看板を見落とさないよう注意してください。自分も一度通り過ぎてしまいました。
県道から右折し水窪川沿いの道を進み、急な坂を登った先に高根城園地の駐車場があります。公衆トイレもありきれいに管理されています。
駐車場には高根城園地の案内看板が設置されています。以前に訪れた際は勾配の緩い四季の小道を進み、南の城広場を経て馬の背小道を通って南側から高根城址へアクセスしましたが、今回は距離は短いが勾配のきつい、手前の登城の小道から目指します。
登山道は整備が行き届いていて歩きやすく、木漏れ日の中を森林浴しながら進みます。森の中を歩くのって本当に気持ちいいですね。
そうそう、前に来た時は登山道でなんと天然記念物のニホンカモシカに遭遇しました!
登山道の入口から5分ほど進むと登城の小道と四季の小道の分岐点に到着します。ここから勾配のきつい登城の小道を進みます。城址まで200mとのことですが急な階段が続くため結構しんどいです。時間に余裕があれば、遠回りでも南の城広場経由をお薦めします。
登ること10分弱、急に視界が開け、眼下には水窪町の町並み、そして正面には中央構造線によって形成された谷地形とその両側にそびえる山々の絶景が広がります。晴れた日のここからの眺めは最高です!是非自分の目で確かめてみてください。
そして、右側を見上げると、木造の櫓や土壁の塀が復元された高根城址の建物が視界に飛び込んできます。これらの建物は平成6〜11年にかけて本曲輪内を中心に行われた発掘調査を基に復元されたそうです。また、塀の中には江戸時代に造られ奥山氏を祀ったとされる稲荷神社があります。
高根城はこの地域を治めていた奥山氏によって15世紀前半ごろに築城され、奥山氏が滅びた後は信州の武田軍が遠州地方を攻める際に在番し、長篠の合戦で武田軍が織田・徳川連合軍に大敗し遠州地方から撤退した1576年ごろに廃城となったそうです。しかし、よくこんな高い場所に城を築いたものですね。
ということで、今回は高根城址を訪れてみましたが、ここの城跡の魅力は発掘調査を基に当時の姿が復元されていること、そしてなんといっても城跡からの眺望です。
今回夏場に訪れてみましたが暑くて汗だくになってしまいましたので、訪れるのであれば春や秋といった涼しい季節をお薦めします。
また、水窪町では9月には水窪祭、10月には全国的に知られている「峠の国盗り綱引き合戦」が開催されますので、それらのイベントと合わせて高根城址も訪れてみてはいかがでしょうか。
【施設情報】
名称:高根城址
所在地:静岡県浜松市天竜区水窪町地頭方地内
アクセス:新東名 浜松浜北スマートI.Cより国道152号経由 所要時間約70分