公共交通でゆく遠州―井伊谷宮の日本絵馬史料館、そして・・・

2015.06.17

田舎は車がないと不便という言葉をよく耳にしますが、車を使わず、電車やバスの路線・時刻表を調べる手間や待ち時間を楽しむのも良いものです。

今回は、浜松駅から遠鉄バスの奥山線に乗車して引佐方面へ。

昭和39年頃までは軽便鉄道の奥山線もあり、広沢、銭取、小豆餅、追分、曳馬野、都田、金指、気賀、井伊谷あたりを通って奥山まで通じていたようです。

軽便鉄道から見えたであろう昔の風景を想像しながら車窓を楽しむこと1時間、「神宮寺」バス停で下車。

目的地に行く前に、帰りの時刻表をバス停で確認。
9時から16時までは1時間に2?3本あり、周辺を散策するのに便利だなと感心したところで、いざ井伊谷宮(いいのやぐう)へ。

帰りのバス停の脇には案内表示があり、「神宮寺」の交差点が見えます。近づくと「紅屋のみそまん」の看板が正面に見えてくるので、非常にわかりやすいです。この「神宮寺」の交差点を右折すると、つつじの道路が続きます。さらに直進すること数分、井伊谷宮脇にかかる橋が現れます。川辺で遊ぶ家族連れの姿を眺めながら歩くうちに、井伊谷宮の正面に到着。冬の時期に初詣等で訪れるのも良いですが、やさしい日差しと新緑が美しい初夏に訪れるのは格別だなと感じながら、本日のお目当てである井伊谷宮の「日本絵馬史料館」に到着。

毎年のように訪れる井伊谷宮ですが、最近までこの史料館の存在に気づかないほど、とても静かな佇まいです。年中無休ですが普段は施錠されているので、祈祷申込所や社務所に一声かけると開けてもらえます。入館料は、祈祷申込所あるいは入ってすぐ左にある窓口で支払います。

小さな史料館ながら、細かく見ていくと期待以上に楽しめました。

毎年変わる展示物としては、全国の色々な神社から寄せられたその年の干支絵馬があります。

今年の「未」絵馬を並べて見ると、構図やタッチなど描かれ方が神社によって随分違うことが分かります。愛らしいけどヒツジには見えない不細工なヒツジが描かれた絵馬もあり、思わず笑ってしまいました。

常設展示物としては、絵馬の名の通り神馬が描かれた様々な絵馬のほか、菅原道真公の生涯を描いたと思われる大絵馬、画家や作家、一般の方が描いた個性あふれる祈願絵馬などが数多くあります。

棟方志功氏の絵馬も所蔵されていたのは、嬉しい発見でした。

日本絵馬史料館を楽しんだ後、改めて井伊谷宮を参拝。拝殿横にある御神木は、ねじれのある幹が苔をまとい、そこから立派に枝を広げており、なかなか見応えがあります。御神木の隣には、宗良親王に関する品々が納められた小さな資料館もあります。

夏から秋頃には手水社や神門あたりを優雅に舞う、青緑の体色と黒の翅がとても美しいハグロトンボに会えるかもしれません。

境内にある井伊社の奥を進むと龍潭寺に行くことができますが、そちらは次回にご紹介します。

COLUMNIST

Yuko Kawamoto

浜松出身、高校卒業後より関東在住。ふるさとをこよなく愛し、多いときには月1ペースで帰省をすることも。着物や日本酒ほか、衣食住に関する和の文化に、並々ならぬ興味・関心・畏敬の念を抱き、「世界ヒレ酒会」の会長をつとめる。

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