南浜名湖はエビの産地。
全国でも珍しい海につながる浜名湖は多くのエビ類が海と行き来し育ち、深海にもつながる舞阪沖からは深い海のエビが揚がります。
前回から市場に揚がる浜名湖のエビと、海のエビをご紹介しましたが、今回は4種類ご紹介します!
前回までの記事はこちら
遠州灘・浜名湖おさかな通信vol.126「さまざまな形や色のエビが生息しています!」
遠州灘・浜名湖おさかな通信vol.127「いろんな種類のエビがもりだくさん!」
遠州灘・浜名湖おさかな通信vol.128「漁港をにぎわす、鮮やかなエビ」
今回ご紹介するのは、まずはその名のとおりハサミ脚が長い「テナガエビ」です。
天竜川などでは、河口域に棲むテナガエビも浜名湖に棲み、時に定置網にかかって雄踏・鷲津市場などに水揚げされています。
これは子供の頃の思い出、エビが入るほどの網を作り、懐中電灯を持って河口近くの岸辺に行く。
足元の浅い水の中に電灯に照らされて青白く目が光るのがテナガエビです。
そっと近づきやや後ろに網を構えて脅かす、ゲットできれば持ち帰り、父がカラッと素揚げして塩を振ってビールのお供となるのです。
そんなおいしい思い出があるテナガエビです
次にご紹介するのは、舞阪漁港にもめったに揚がらない珍しいエビ「セミエビ」です。
ゴツゴツした甲羅は保護色のようになり、さぞかし海の中では見つかりにくそうです。
ウチワエビなどと同様に、身入りが悪そうに思えますが、意外なほど尾から胸までの身が多く、刺身から海老汁でおいしいと聞いています。
沿岸刺し網などで時々かかる珍しいエビ、遠州灘にはこんな不思議なエビも棲んでいます。
次はご存じ「イセエビ」。資源管理のため厳密に解禁日が決められた舞阪漁港の幸です。
イセエビも獲れるんだよといえば驚かれるのは、イセエビが好みそうな岩礁などが見当たらないからでしょうか。
イセエビ漁は、厳密に管理された許可漁で、許可を受けた漁師さんだけが取り組むことができる漁です。
多くは獲れませんが、舞阪漁港を賑わせるイセエビ、ライバルとなったアカザエビと人気を競っています。
最後は、浜名湖の「サイマキ(クルマエビ)」を紹介いたします。
昭和のはじめから、その前から浜名湖はクルマエビの海。
浜名湖では、クルマエビをサイマキ(細巻)と呼び親しんでいます。
現在では、伝統の小型定置網「角立て網(かくだてあみ)」で獲られていますが、かつては帆かけ船で曳く、うたせ漁が盛んにおこなわれていました。
ひとつ美しいサイマキの特徴を紹介いたしましょう。
成熟したサイマキの尾羽はこのように美しいもの。浜名湖料理店などで刺身や天ぷらで楽しむ時にご覧ください。
4回にわたって遠州灘・浜名湖に生息するエビをご紹介してきましたが今回が最終回。
エビとひとまとめに言っても、形や色、大きさもさまざま。知れば知るほど、遠州灘・浜名湖の魅力を感じることができました。
■資料提供:南浜名湖FISH&TIPS