南浜名湖はカニの産地。全国でも珍しい海につながる浜名湖は多くのワタリガニ類などが海と行き来し育ち、深海にもつながる舞阪沖からは深い海のカニが揚がります。
今回は、前回に引き続き、遠州灘・浜名湖のカニをご紹介します。
前回の記事はこちら
→遠州灘・浜名湖おさかな通信vol.121「遊泳脚を持つガザミ・タイワンガザミ」
→遠州灘・浜名湖おさかな通信vol.122「珍しい名前や模様のカニがたくさん!」
少量しか水揚げされないカニの中に、特別珍しい目の長~いカニがあります。その名も「メナガガザミ」です。
長い目を持っているのが特徴的で、浜名湖の砂泥に深く潜って目玉だけ出しているのでしょうか、知りたいところですね。
メナガですがガザミの一種なので、やはり最後端に先がボートのオールのような遊泳脚を持ち泳ぐことができます。
また他のカニに見られない美しい紫色が特徴であります。
水揚げされた珍しいカニや生き物は、浜名湖の生き物を紹介する体験学習施設ウォットへ寄贈する生け簀へと放たれます。
豊かな浜名湖を子供たちに教えたいなという漁師さんの活動です。
さて、泳ぐことができるカニをワタリガニ類といいます。
その中にはイシガニ類もあるとご紹介しましたが、浜名湖で少量獲れるどちらの名前も持つカニが「ツブワタリイシガニ」です。
ワタリガニ同様に最後端の足先がボートのオールのような遊泳脚を持ち、このカニはイシガニの特徴である鋭い爪を持っています。
さらに美しいツブツブを持っています。多く獲れないため、まとまって揚がることはありませんが、漁師さんに見せていただいたカニを撮らせていただいています。
甲羅の表側はザラザラタイプのイシガニのよう。大きさもあるので、充分に蒸したり、茹でたりしていただけます。
もちろん、イシガニといえば二つに割ってのカニ汁です。ブツブツもあり鋭い爪が見栄えがよさそうですね。
浜名湖の雄踏・鷲津市場などにときたま水揚げされます。
商業的に販売されることのないカニは市場まで運ばれることは少ないものの、漁師さんのご厚意で見せていただいています。
つづいては、漁師さんから浜名湖の砂底にはよくいるよ!といわれる珍しいカニで、ピンクの爪先と全身を短い毛で包んだ「カイカムリ」をご紹介。
このカニの特徴は、その名前カイカムリからわかるように貝を被ること、背に二枚貝の殻を背負って隠れているといいます。
よく見れば背中に向けて1対の短い脚があり、その足で起用に貝を背に負っているのだそうです。
漁師さんのように自由に浜名湖を行ければ見かけることがあるのでしょう。一度貝を被っているのを見てみたいですね。
最後は、遠州灘で操業する舞阪漁港の底曳き漁(9月1日~翌年5月15日漁期)で水揚げされる世界最大のカニ「タカアシガニ」です。
まずはどんなに大きいのかをオスのハサミ脚のハサミでご紹介します。大きいでしょう。
タカアシガニといえば伊豆の戸田の深海トロール漁での水揚げが知られていますが、タカアシガニは相模湾、駿河湾、そして遠州灘にも棲み、じつは移動しているといいます。
遠州灘では3月頃から大量に獲れることがあり、移動中ではないかといわれています。
深い海の底を相模湾・駿河湾から大群で進むタカアシガニたちがいるのかもしれません。
このタカアシガニですが、舞阪漁港では「ヘイケカニ」と呼ばれています。
写真は台車に乗せたオス、子の脚を伸ばせば2m以上に達します。
こちらはメス。メスはオスよりずっと小型が多く、ハサミ脚も小さいことからわかります。
もちろん他のカニと同様に、腹側からみれば大きなふんどし(外子をつつむ)を持つのがメスのタカアシガニです。
隠れた舞阪漁港のカニの水揚げ。世界最大のカニ、タカアシガニが水揚げされています。
大きなハサミが印象的でしたね!次回は浜名湖のカニをご紹介するシリーズの最終回になります。お楽しみに!
■資料提供:南浜名湖FISH&TIPS