浜名湖のあさり

2014.07.02
【第2話】

収穫まで

いにしえの暮らしに思いを馳せる、弁天島の磯あそび。

浜名湖の南、弁天島は湖に浮かぶ赤い鳥居がランドマークです。JR東海道本線の弁天島駅を降りてわずか徒歩1分(!)、弁天島海浜公園に着くと、目の前には穏やかな波の砂浜が広がります。ここでは、初夏から8月の終わりまで「磯あそび」を体験できます。もともとは「潮干狩り」がお馴染みでしたが、近年のあさりの減少の影響もあり、潮干狩りは取りやめとなり、代わって登場したのが磯あそびです。

「磯あそび」といえば、平安時代から続く、初夏を楽しむ習慣。あさりを拾うこともできますが、あくまで主役は「磯辺での時間」そのもの。お昼を食べたり、水辺の生き物を観察したり、磯辺で一日、ゆったりと過ごします。

船に揺られて、無人島へ渡る。

弁天島の鳥居がある場所までは、船で渡ります。といっても、乗船時間は1分弱。手軽ながら、ちょっとした冒険気分も味わえる、身近な無人島です。

船を運転しているのは地元のあさり漁師たち。「運行の時刻表は?」との問いに、「そんなものはないよ(笑)。干潮の前後2時間、お客さんが渡りたいときに船をだすだけだよ。」と、浜名湖の穏やかな波のように、ゆるりと答えてくれました。

それでも、船が出るのが待ちきれない様子のお客さんに、「今日は干潮時刻が14時頃だから、先にお昼を食べにいってきてから、ゆっくり渡れば、ちょうどいいですよ。」と声をかけます。ここでは、人間が自然のリズムに合わせます。

守りながら、育てる。

あさりは、砂の中の深さ10cmほどのところに生息しています。あさりを探している間は、おとなも子どもも真剣そのもの。子どもたちは、最初のあさりを見つけると大興奮。おとなでも、砂の中に手を入れ、大きなかたまりを掴んだときは、一瞬胸が高鳴ります。

もちろん、いくら夢中になっても、採りすぎは禁物。決められた量の、よく育った大きい貝だけを採るのがマナー。浜名湖の恵みに感謝しつつ、磯辺で過ごす時間そのものを楽しんでほしい。長年あさり漁をしてきた、漁師さんたちの想いです。




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