2020-05-01

はこび届けて、暮らしを支える

食品を買うときに私たちの生活の身近にある、スーパーマーケットやコンビニエンスストア。ひと昔前に比べると、現代は本当に便利なことが増え、暮らしやすい時代になりました。でも、そんな便利な暮らしがあるのは、物を運んでくれる人がいるからこそ。

そんな運送のお仕事は、社会の「血液」と言われます。「運ぶ」ことはいつの時代も変わらず、私たちの暮らしを支えてくれています。

今回訪れたのは、浜松市東区和田町のスペースプランニング株式会社さんです。物流の中でも、特に食品の輸送を専門にされている会社さん。

敷地内に入ると、大きな倉庫の横には大小たくさんのトラックが並ぶ。シルバーの車体に入ったブルーのロゴとラインが目を引きます。

本社にお伺いして、案内してくれたのは社長の山崎さんです。

「日中はまだトラックが少ないほうなんですよ。夜間になるとここに何台ものトラックが出入りして、活気があるんです。」

遠州地域の中でも、食品輸送を代表するスペースプランニングさんは、冷凍・冷蔵・チルドなど様々な種類の食品を扱われています。

この地域で暮らす私たちは今、安全な食べ物をいつでも不自由なく手に入れることができます。でも、それは新鮮な食品を365日昼夜を問わずに運んでくれている方々がいるから。そんな当たり前のことですが、私たちはふだん意識することなく暮らしています。

「ふつうの人が休んでいるところで運んでいる人がいる、ということでもあるんですよね。ドライバーたちが忙しく働いているのは夜間であることが多いですし、年末年始などでもみんな休まずに運んでくれているんです。」

山崎さんは2代目社長にあたり、会社の基礎を作ったのは先代のお父様だそうです。食品輸送を専門とする物流会社として、現在107名の社員が働いています。

「父はいつも、新しいことに着手することが多かったんです。中核都市といわれる浜松ですが、食品輸送のための冷凍設備を持つ物流会社は当時この地域にはほとんどなくて。ある意味、食に対しての挑戦でした。」

こうした先代の想いのなかで、山崎さんは大手の食品輸送会社で7年間経験を積まれたそうです。

スペースプランニングさんの特徴は、「冷凍」「ドライ」「チルド」の三温度を一括管理するシステムを導入していることです。管理のための倉庫と、配送のためのトラックのそれぞれに温度を一括管理するシステムが完備されているため、大切な荷物の品質を保ったまま共同配送することができる。

こうした設備を整え、同時にうまく運用するのは、かんたんなようで難しいことだといいます。

「それまでは、ドライ・チルド・冷凍の荷物をそれぞれ別々に運ぶことが普通だったんです。でも、それだと一つのお届け先に何台ものトラックが運ぶことになる。トラックだけでなく運ぶ人や時間、燃料もそれだけかかってしまいますよね。」

『スペースプランニング』の社名には「空間を効率よく計画する」という意味が込められているのだそうです。

単に運ぶだけでは、時間や働く人、トラックなどを必要以上に使うことにもなってしまいます。でも、活用できる空間をしっかりと計画することで、大切な資源を最大限に活用することができる。スペースプランニングは、「考える集団」でありたい、という山崎さん。

そんなふうに様々な場所へ大切な荷物を届ける日々ですが、やはり大変なお仕事でもあります。

山崎さんがスペースプランニングさんに入社し、食品の輸送を手掛けるようになった頃は、ちょうどコンビニエンスストアが普及してきた頃だったそうです。

「365日24時間開店しているコンビニエンスストアにいつでも商品が並んでいるためには、みなさんが寝ている間にも荷物を絶え間なくお届けしなければいけません。今のように便利な世の中へ、大きく転換していく時代だったんじゃないかな。」

不自由することなく、いつでも欲しい物を買うことができる現代。物流のお仕事は、そんな時代の中で、社会を大きく支えてきた存在なのだと思います。

「そんなドライバーたちのモチベーションになるのは、今も昔も変わらないことで、届けた先での『ありがとう』という言葉なんですよ。」

そういって山崎さんが見せてくれたのは、事務所に大切に掛けてあった一枚の色紙です。

パンを配送する小学校から届いた、児童たちからのお礼のメッセージ。一人ひとりから心のこもった手書きの言葉が添えられている。

「こういう気持ちは、すごくありがたいですよね。ドライバーたちにとって本当に嬉しいことで、大切に残していたりするんです。そんなふうにみんなが喜んでいる姿を見られるのは、僕の立場でもすごく嬉しいことです。」

そんなスペースプランニングさんでは、ドライバーさんをはじめいろいろな方が働いています。

お話を聞いてみたい、と最初にご紹介いただいたのは、左口さん。

左口さんは、東区上石田町にある物流センターでドライバーさんたちの管理を担っています。

「ふだんの勤務は夜12時からなんです。いつもは伝票の仕分けや勤務の管理なんかをしていますが、ドライバーが体調を崩したりしてしまうこともあるので、そんなときは代わりにトラックを走らせることもよくあるんですよ。」

5年前に入社した左口さんは、以前はコンビニエンスストアのオーナーをされていたのだそうです。

「コンビニも年中無休だったから、夜の仕事には慣れているんです。荷物は夜間にもいつも届いていたから、ドライバーさんのことはよく知っていたし、馴染みのある仕事でしたね。」

オーナーとして働かれていた左口さんですが、体調を崩されてしまったことから経営に区切りをつけて、物流の仕事に携わることになったのだそうです。以前から、接客の仕事はすごく好きだったといいます。

「お客さまとのコミュニケーションがやっぱり好きなんですよね。昔は、ドライバーは黙々と運ぶイメージがあったかもしれませんが、コミュニケーション能力も求められます。だから、今は接客が上手な女性ドライバーが増えていたりもするんですよ。」

にこやかにお話してくれる左口さんは、説明も丁寧で分かりやすい。お客さまと接するのがお好きなんだな、ということがよく伝わってきます。

今は管理的な業務も多くなった左口さんですが、入った頃は、静岡〜愛知の範囲でドライバーとしてバリバリ運んでいたのだそうです。

「トラックを運転したこともなかったし、新しく知ることばかりでしたよ。いろいろな道の情報も知っていないといけないし、朝晩の通勤で混み合う時間帯のことだとか、それを避ける道のこととか。」

ちょっとした混雑に巻き込まれただけでも、30分近いロスにつながることもあるのだそう。時間どおりに配達しなければいけない仕事だから、運転技術以外にそうした知識も大事になってくるのだと思う。

野菜や冷凍食品を運んでいた左口さんが届けていた先は、病院や老人ホームなど。大きな施設でもあるから、運ぶ量もとても多いのだそう。

「荷物を見たらすごい量でびっくりしますよ(笑)。届ける先で、みんな待ってくれているんです。社員食堂に届けた時なんかは、『ちょっと食べていきな〜』なんて声かけてくれたりして。前職の頃から変わらず、そういうお客さまとのやりとりはすごく楽しいですね。」

そんなお話をしながら、物流倉庫の中を案内してくれました。

倉庫の中は、チルド・冷蔵・冷凍の3つのエリアに分かれていて、たくさんの方がリフトなどで荷物を運んでいます。

「効率よく荷物をお届けするために、ピッキング作業を行います。熟練のスタッフが丁寧にお客さまの荷物をピッキングしていくんです。」

ピッキングというのは、発送先それぞれの注文をもとに、商品を仕分けて梱包していく作業のこと。ピッキングが終わった荷物は次々とトラックに載せられ、出荷されていきます。みなさん、すごいスピードでテキパキと動いているのが印象的。

続いて、倉庫の奥にある冷凍エリアに案内してくれました。

こちらもとても広い空間ですが、とにかく寒い。室内はおよそ-25℃に保たれているのだそう。

「よくテレビではこういう倉庫で、寒い〜なんてロケをすることがあるでしょ?でも、そんな寒い場所で、一日中働いているみなさんがいるんですよ。」

身体を動かして作業をしているとそれほど感じないのですが、少し止まって作業をする時があると、とたんに寒さを感じるそう。

こうして徹底した温度管理が確立されているから、安全な食品がいつでも私たちの食卓に届くのだとよく分かります。

昼夜を問わず働くドライバーさんたち。それをまとめる左口さんが、働く中で苦労することはどんなことですか?

「やっぱりクレームみたいなことはどうしてもあります。配送ミスが起こることもありますから。でも、そういう時にどうやってすぐに対処できるか。お客さまが必要としてる荷物を届けるっていうのが、私たちの仕事ですから。」

今は、管理者の立場でそんなフォローをすることも多い。

「ミスをしてしまったドライバーが、また同じように届けられるようにっていうのが大事なんです。ドライバーが悪いわけではないこともありますしね、だからチームみんなでフォローできるようにしているんです。」

大切なのはお届け先との信頼関係だから、という左口さん。きっとそういう姿勢が、たくさんのお客さまとのいい関係を作っていくのだと思う。

「ここではたらく前は正直、配送ってそんなに複雑な仕事ではないと思っていたんです。でも、大切な荷物を直接届けるドライバーに求められることはすごく多くて。だから、みんなキチンとしているというか、几帳面な方が多い世界だなって思います。」

最近でも、ドライバーの頃に配達していたお客さんのところへ、誰かの代わりに届ける時があるそうで、そんなときは、『久しぶり〜!』『元気だった!?』なんて声をかけてくれることがよくあるのだそう。

「そんな声がやっぱり嬉しいです。人と人とのふれあいが、結局一番大事なんだって思いますよ。」

今は管理者の立場。でも、ドライバーとしての経験があるからこそ、みなさんが働きやすい環境づくりに取り組めるのだと思います。

続いてお話を伺ったのは、女性ドライバーの小須田(こすだ)さんです。

小須田さんは、静岡県内の様々な場所に野菜を届ける「野菜バス」という配達の仕事が専門だそうです。

「静岡県内ではじまっている、農業の新しい取り組みのひとつなんです。『バス停』と呼んでいる場所がいくつかあって、そこには、収穫した野菜を農家さんが持ってきたり、野菜を必要とする小売店や飲食店さんが受け取りに来たりするんです。」

小須田さんは、県内のバス停を次々とまわり、集荷したり、届けたりする。直接お客さまを回るわけではなく、中間地点のバス停があることで、効率よく地元の野菜を届けることができる。

「例えば、バス停をつなぐことで、浜松で採れた新鮮なトマトを、掛川の飲食店さんがその日に手に入れることができたりするんですよ。」

高齢化が進む地域農業におけるひとつの課題に『配達』の問題があります。農作物を作ったり収穫したりすることはできるけれど、個別に配達するまでは難しい、という農家さんが実はたくさんいるのだそう。

一方で、地元で採れた新鮮な野菜を使いたい飲食店さんなどは多いものです。生産者と消費者をつなぐ、地産地消を応援する配達のお仕事。

「タブレット端末で全部管理できているんですよ、集荷や注文の内容がリアルタイムに入るので、それに従ってまわっていくんです。うまくシステム化されていて、すごい時代だなーって。」

小須田さんがここで働き始めたのは約2年前。洋服が好きで元々はアパレル販売のお仕事をされていたそうですが、息子さんの大学進学を機に、収入面などを考慮して転職を決めたそうです。

どんなきっかけでスペースプランニングさんを知ったのですか?

「求人誌で『野菜の配達』っていうのを見て。私、一箇所でこもって作業するような仕事が苦手なんです(笑)。移動したり、接客したりって仕事ならぴったりだなって思って。」

でも、大きな3tトラックで配達するとは思っていなかった、と笑って話す小須田さん。実際に働いてみてどうですか?

「おもしろい!っていうのが率直な感想です。トラックを運転するのははじめてでしたが、やっぱり普通の乗用車とは違うんですよ。運転席が高いから視界も違うし、大きいトラックを運転するのは単純に楽しいですね。」

常に動いているので景色が変わっていくのも、小須田さんにとって気持ちがいいそう。運ぶ野菜は旬のものなので、季節感を感じることもできる。

「中には見たことのない珍しい野菜もあったりするんです。届けてくれた農家さんに『これどうやって料理するといいの!?』なんて聞いたりして(笑)」

はじめてするトラックの運転は、わからないことも多かったそうですが、先輩ドライバーさんがいろいろとアドバイスしてくれて、少しずつ学んでいったそう。

「車体が大きい分、安全への配慮がより求められるので、緊張感はすごくもっています。安全な運転のことをしっかりと考えるのって自動車学校以来でしたけど、あらためて勉強になっているなって思います。」

また、荷物の積み方にも注意する点はたくさんあるのだそう。積み込むコンテナは重さがバラバラなので、安全に運ぶために最適なバランスが求められる。

替わりのきかないものばかりだから、積み方ひとつとっても責任は大きいという小須田さん。

「お客さまの大切な荷物を預かっているものだから。私の運んでいる野菜なんかも、農家さんが上手に作ってくれた大事なものです。できる限り、きれいなままお届けできるようにって思っています。」

「毎日のように顔を合わせるお客さまも多いですよ。暑いね〜、気をつけてね〜なんてお互いに声をかけあえるのも楽しいです。」

接客業に長く携わってきたからこそ、そんな温かさをいっそう感じる面もあるのだと思います。声を交わすみなさんの心にも、きっと心地いい風が吹くのだと思う。

「トラックがこうして私たちの身近なものを運んでるんだって、実際に仕事に携わってみて、はじめて実感しました。食べるもの、身につけるもの、ほかにも何もかもがこうして運ばれて、世の中がまわっているんですよね。」

他にも、夜通しかけて配送している方がたくさんいる。当たり前のことなんだけど、この仕事に携わらなかったらそんな風に感じることがなかったと思う、という小須田さん。

「トラックって大きいから、見た目に圧がありますよね。小さいお子さんなんかには、怖いなって思われてしまいがちだと思うんです。でも大事な暮らしを支えているトラックだから、できるだけそう思われないように。私も思いやりのある運転しなくちゃって思ってます。」

そんな小須田さんの言葉は、きっと他のドライバーさんたちのことも思うからこそ。

ご自身の経験を活かして、新しい仕事にはつらつと取り組んでいる姿が印象的でした。

最後にお話を伺ったのは、事務を担当されている石原さんです。

現在、育児休暇中だという石原さんは、産休〜育休を経て、来月には復帰の予定なのだそうです。

「今までは、ドライバーの給与計算を主に担当していました。産休に入って、別の職員がその仕事を引き継いでくれたので、復帰したら次は別の仕事を担当する予定なんです。」

石原さんがスペースプランニングさんで働き始めたのは約4年前ですが、前職も物流の会社で働かれていたそうです。

「私、トラックが大好きなんです!特に、うちの会社のトラックってすごくかっこいいでしょ?ブルーのラインやロゴが決まっていて。道を走っている大きなトラックを見るのが、昔から単純に大好きなんですよ。」

そんなトラックに関われる運送業に携わりたいと考えるようになった石原さん。トラックの安全な運行に関する「運行管理者」という専門の資格もお持ちなのだそうです。全国を配送してまわるドライバーさんたちをサポートする立場で、長く関わってきました。

「今って、いつどこへ行っても何かしら食べ物が手に入るじゃないですか。ドライバーって、朝も夜も、お正月だって運んでいます。だから、それだけ大変な仕事でもあるんです。」

そういうみなさんをサポートできることが、すごくやりがいだという石原さん。ここ物流センターの事務所には、毎日いろいろな問い合わせが入ってくるそうです。

「やっぱりここは窓口だから、いろんな問い合わせが入るんですよね。例えば、○○がない!とか。そうすると、倉庫の方に走って探したり。ここにいる事務のみんなで、そういうことを日々受け止めてる感じです(笑)」

なくなってしまった荷物が見つかったときなどには、「助かったよ!」「ほんとにありがとう!」なんて言葉をかけられる。支えることができてる、と感じられる瞬間なのだそうです。

時には、ドライバーさんがお土産のお菓子などを差し入れてくれるときもあるそうで、そんなやりとりがあるのは、いい関係が築けているからなのだと思う。

また、事務職には同じように育児をしながら働いている女性スタッフの方も多いそう。

「同じような環境の職員が多いから事情も分かって、お互い融通を利かせられますしね。上司の方も、嫌な顔ひとつせずにいつも柔軟に対応してくれるので、ほんといい環境だなって思います。」

今年の夏、スペースプランニングさんは浜松インター近くに、大きな新センターを開設される予定です。

現在、順調に建設が進められている新たな拠点で、復帰後の石原さんは新しい仕事に携わる予定なのだそうです。今、どんな気持ちですか?

「ほんとにびっくりするくらい大きい施設なので、一体どんな仕事をするんだろうって思ってます(笑)。でも、新しい環境も楽しみ。出産後も絶対にこの会社で働きたいって思ってたから、こうして休みをいただけて、その後も働かせてもらえるのがすごく嬉しいです。早く戻りたいな〜って気持ちですね。」

そう楽しそうにお話される石原さん、きっと復帰後もたくさんのドライバーさんたちを支えていくのだと思います。

「がんばっているのは、昼夜を問わずにいろいろな場所に届けてくれているドライバーと、それを支えているスタッフのみんなです。だから、仕事を会社に反映させるというよりも、働くみんなのモチベーションが高まることが僕は一番大切だと思っているんです。」

目に見えにくい仕事だからこそ、携わるみなさんの働きがいを大切にしたい、山崎社長はあらためてそういいます。

それは、自社のことだけでなく、物流に関わるたくさんの方々に対して感じている想い。関わる会社が相互に連携し、より効率よく仕事ができるようになれば、いっそう地域を支えられる存在になっていくはず。

「だから新センターはうちだけじゃなくて、物流に関わるたくさんの会社さんにうまく活用してもらえる場にできればと思っているんです。他の協力会社さんも含めて効率の良い形が生まれていけば、お互いが必ずプラスになると思うから。」

私たちの暮らしを支え、産業を支えてくれる物流。それは、どれだけ社会が発展しても、きっと変わらないことだと思います。

普段の暮らしでは見えづらい仕事です。でも、まさに身体を巡る血液のように、今もたくさんのドライバーのみなさんが大切な荷物を運んでくれています。

人から人へ物を運ぶ。その間にあるあたたかさが、私たちの暮らしをいっそう豊かにしていく。食品輸送のパイオニアとして、これからも広がっていくスペースプランニングさんの活躍が楽しみに感じられました。

■スペースプランニング株式会社のホームページはこちら
「スペースプランニング」→ http://www.spaceplanning-kk.com

※この記事は2020年2月〜3月上旬に打合せ・取材したものです

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