9/8 鍬(くわ)の日記念!「鍬あれこれ」

2014.09.08

さて、かなりマニアックですが、本日9/8は9と8で「鍬(くわ)の日」です。鍬・・・畑を耕す時に使う、あの道具です。

農業は、自然と直に接する作業であり、弥生時代からという長い歴史の積み重ねの結果、地域の特色が色濃く出ている道具があります。
それが鍬。

普段暮らしていると気付くことはほとんどありませんが、1つ川を超えれば土が違う という話を聞きます。
気の遠くなるような年月、毎日毎日土と向き合い作業をする中で、使う人と作る人が少しずつ工夫した結果少しずつ形が変わり、実に多様性のある道具となったのです。

すごーーーーくマニアックですが、毎日の食と切り離せない、誰にでも縁のある道具です。

さて、「鍬」と聞いてぱっと思い浮かぶ形は、こんな感じではないでしょうか。一方、世の中にはこんな鍬もあります。・・・ぱっと見、いっしょ!という感想ですよね、きっと!

この2つ、何を隠そう、柄の角度が違います! 最初にご覧頂いた鍬の柄の角度は70?80度、2つ目は50度ほど。

山肌を耕すなど、地面に角度がついているときに柄の寝ている(角度の鋭い)鍬を使うとのこと。浜松市の北部の山間の地、天竜地区で使われていたものと聞きました。

また、本記事を書くにあたり地元の農業道具販売店を確認してみたところ、「遠州型」「駿河型」の2種が売られていました。
遠州型はまさに上記の1つ目の形、一方駿河型は、刃の部分が1.5倍はあろうかという長さでした。とにかく刃が長い。本当ですよ。

※添え書きには「深く耕せます」とあり、おそらく深く耕してもいい土地が多いのでしょう。

お店では「遠州型」とひとくくりにされていましたが、遠州の中でも大きな川・天竜川が流れています。天竜川の西側の浜松市と、東側の掛川市でも形は異なる例を紹介します。

それは、断面が違う鍬たちです。より一層マニアックな点ですが。

多くの鍬は、断面は△の形です。耕すのに余分な突起は不要ですから。しかし掛川市には▽な鍬も存在します!! それは、掛川市民俗資料館での展示品にありました。
↑わかりますでしょうか。鍬を背面から見たところです。背の断面が△と▽で、異なっています。

なんでも、鍬に張り付きやすい泥状の土地を耕す際に有用で、下面がとんがっているために泥がつきにくいとか。

以前、この鍬をいっしょに見に行った鍬の大家の先生が、「存在するとは聞いていたが、▽の実物を見たのは初めて!!! ここにあったのか???!!!」と大感動されている様子を見て、私もどっぷり鍬に愛情を持つようになったわけです。

さらにマニアックな解説をしますと、現在売られているものの多くは1枚の金属板でできていますが、ご紹介したイラストの鍬はすべて、中央に木製の土台があり、そこに金属の刃をはめ込んだ形。これは、田んぼに適しているとのこと。木製の土台の分重量が軽くなり、浮力が働いて扱いやすいそうな!

・・・というように、その土地の地質それぞれに対応した形がそれぞれの土地で作られて来た道具、それが鍬です。
作っていたのもその土地の鍛冶屋さんでしたから、まさにカスタムメイドが行われていた訳です。

その結果、今回ご紹介したもの以外にも、刃の部分が丸くダルマのように見えるもの、柄が短いもの、柄が反っているもの、幅の広いもの狭いもの・・・(それぞれの土地が、平らなのか角度があるのか、泥質なのか普通の土か、または砂地なのか)、本当にさまざまです。

畑や田んぼを耕すという同じ目的の道具なのに、結果はこんなにも違う面白さ。

逆に、例えばリンゴのマークのスマートフォンは、日本全国どころか全世界で共通という面白さがあります。
こちらは、同じものなのに、同じじゃないという面白さ。

こういった伝統的な鍬や農機具などは、地域の民俗資料館という場所で展示されています。今まで全く訪れたことのない方も多いと思いますが・・・これを機に、訪れてみてはいかがでしょうか!! なお、同様の施設は博物館に併設されていることもあります。

☆民俗資料館のリンク☆
■掛川市・大須賀歴史民俗博物館
http://www.city.kakegawa.shizuoka.jp/kankou/spot/art/
osukarekisiminzoku.html

■浜松市・博物館蔵資料検索ページ「ある蔵」
 キーワードに「鍬」と入れて検索してみてください。
http://jmapps.ne.jp/hamahaku/index.html

☆鍬リンク☆
■相田合同工場(新潟県)のブログ「一日一鍬」
燕三条の鍛冶の伝統を守ることを信条とした会社で、鍬の修理を積極的に行っているみなさん。修理が100件を超えても、まだまだ見たことのない鍬に出会う日々とのこと!! 多様な鍬が見応え十分のブログ。勉強になります。
http://www.kuwaya.com/blog/cat6/

ホームページ
http://www.kuwaya.com/index.html

■永井のくわ(福島県)
やはり柄の角度は重要で、すべての鍬に明記! 遠州(浜松市東区)では冒頭に紹介した70度くらいの鍬が普通と感じますが、こちらでは40度くらいが標準のようですね。
http://nagainokuwa.com/kuwa/

■中村刃物(大分県)
先端が丸みを帯びている鍬! 私は今回初めて知りました。商品解説に寄ると、大分では丸刃が主流とのこと。遠州から遠く離れた大分県、遠いとより形が異なるのかな??
http://www.nakamura-hamono.jp/2kuwa.html

COLUMNIST

Saiko Hakamata

大学卒業後、東京に本社を置く企業に6年間在籍、計10年を東京で過ごす。30代に入り、故郷・浜松にUターン。高校卒業以来の遠州ライフを楽しんでいる。

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